民進党玉木議員「特大ブーメラン」生産の理由

民進党玉木雄一郎幹事長代理のツイートが「特大ブーメランだ」と、ネットを中心に話題になっている。

もともとのきっかけは8月21日の産経新聞1面の記事。愛媛県獣医師連盟の中で、日本獣医師連盟の方針への不満から、会費を拒否する動きが見られる、という内容だ。

記事の中にある「日本獣医師連盟をめぐっては、前身の日本獣医師政治連盟が、加計問題を追及している民進党の玉木雄一郎幹事長代理に政治献金をしていたことが明らかになっている」という一節が、玉木氏の逆鱗に触れたようだ。

記事が出て早速、玉木氏はツイッターで次のように怒りをぶちまけた。

「今朝の産経新聞を見てびっくりした。あまりに酷い。私が獣医学部を阻止するために献金を受け取り国会で追及を行なっているかのような記事。全く事実に反する記事で強く抗議したい。しかも私に一切の取材なし。彼らはネットのフェイクニュースを見て記事を書いてるのか。社内教育はどうなっているのか」

民進党の玉木雄一郎幹事長代理(たまき雄一郎 オフィシャルサイトより)

玉木氏と獣医師連盟との関係は、これまでにも取り沙汰されてきたが、玉木氏は一貫して身の潔白を主張してきた。それではなぜ、これが「特大ブーメラン」となったのか。

少なくとも、以下のことは玉木氏も認めるところの事実である。

・玉木氏の身内には獣医師がいる。
・玉木氏は獣医師連盟から政治献金を受け取っていた過去がある。
・玉木氏は国会で、加計問題を追及してきた。これは時系列で見れば、献金を受け取ったよりも後の時期である。

『フェイクニュースの見分け方』烏賀陽弘道[著](新潮社)

しかし、玉木氏は前述の通り、潔白であることを強く主張してきた。たとえば自身のブログには、次のような一節がある。

「献金をもらって誰かを責める。そんな馬鹿馬鹿しいことをするために私は国会議員になったのではありません」

ここまで強く潔白を主張している玉木議員なのに、なぜ件のツイートが「特大ブーメラン」と評されるのか。一つには、上に挙げたような「事実」を再び人々に周知することになったからなのだが、もう一つは、過去に自身らが用いてきた論法がそのまま跳ね返ってくるからだろう。

森友学園問題、あるいは加計学園問題が報じられて以降、民進党は安倍首相に対して「潔白ならば自分で証明せよ」と求めてきた。そのロジックは、ごく簡単に言えば「こちらにはクロの決定的証拠はない。しかし、怪しいと考えている。もしも首相がシロだというのならシロだという証拠を出せ」というもの。「何もやっていないことの証明」すなわち、「悪魔の証明」に等しいことを延々と求めてきたのである。

同じ手法を玉木氏に応用すれば、こういうことだ。

「獣医師連盟の意向とは一切関係ないというのならば、その証拠を出せ」

厄介なのは、首相と異なり、玉木氏は明らかに献金を受けているという点だろう。玉木氏は献金の時期が古いことなどを根拠に潔白を主張しているが、ネット上での氏への批判を見る限り、あまり奏功しているとは言い難い。

「時期が古いからといって、意向を受けていない証拠にはならないだろう。意向を受けていないというのなら、その証拠を示せ」

結局、こういうツッコミが返ってくる。

そう、やはりブーメランが戻ってくるのである。

ビッグ・ピクチャーの必要性

玉木氏に限らず、民進党の議員の発言はよく「ブーメラン」と評されることがある。多くの場合、自身の過去の言動と矛盾する発言をした場合である。

これは他人事ではなく、誰でも仕事や普段の生活で起こしうる事態である。これを避けるにはどうすればいいのか。

一つの有効なヒントは、「ビッグ・ピクチャー」の視点を持つことだ。フリー記者の烏賀陽弘道氏は、新著『フェイクニュースの見分け方』の中で、こう解説をしている。

「『ビッグ・ピクチャー』とは、ある事実Fがあったときに、『空間軸』と『時間軸』を広げ、その座標軸に事実Fを置いて検証しなおしてみることだ。

英語では“ You must see it in a big picture”という慣用句にもなっている。『視野を広げて考えてごらんよ』というような意味だ」

言い換えると、何かの事象について考える際に、「それよりも前の事柄」「他の地域、国での事柄」にも視野を広げてみるということである。烏賀陽氏は、これを情報の検証をする際に必要な姿勢として説く。この「ビッグ・ピクチャー」の視点を持つことは、自分自身の言動をチェックする際にもそのまま有効なのは明らかだろう。

逆に言えば、ブーメランの作り手とされる議員は、こうした視点を欠いているということになる。

『フェイクニュースの見分け方』の中で、烏賀陽氏はビッグ・ピクチャーを用いた情報のクロスチェックの必要性を強調し、そして現状をこう分析している。

「かつてはこうしたクロスチェックは専業記者の仕事だったが、今はそうでない一般の人にでも簡単にできる。インターネットで、新聞記事のデータベースを検索したり、YouTubeで国会答弁を見たり、答弁の議事録を検索したりすればよい」

もはやある分野においては、新聞やテレビよりも、ネットでのチェックのほうが厳しく、正確なものも多い。決して無視してよい存在ではない。にもかかわらず、玉木氏はツイートで「ネットのフェイクニュース」と、ネット上の情報を上から目線で表現している。氏の「特大ブーメラン」が主にネット上で指摘されるのは、必然なのかもしれない。

デイリー新潮編集部