<掃除機>「スティック型」人気 吸引力向上、高齢者に需要

電源コードをコンセントに差すことなく、すぐに掃除を始められる「コードレス式スティック型」掃除機が人気を集めている。吸引力の弱さなどから敬遠されていたが、数年前から大手電機各社が吸引力が強いデザイン性の高い製品を次々に発売。共働き世帯の増加や高齢化から手軽に掃除をできる製品の需要が高く、市場を拡大している。【古屋敷尚子】

コードレス式スティック型掃除機は、本体を充電台から取り外し、電源コードをコンセントにつなぐことなく掃除が始められる。部屋に出しっ放しにして充電し、収納スペースから取り出す手間もない。調査会社GfKジャパンによると、今年1〜6月のスティック型掃除機の販売台数は、前年同期比22%増と好調だった。このうち、コードレス式が6割以上を占めている。2016年の掃除機全体の販売台数のうち、スティック型の割合は32%で、本体に車輪がついてパイプで吸い込み口部分と接続された定番の「キャニスター型」(46%)との差を年々縮めている。

日立製作所子会社の日立アプライアンスはスティック型の新製品「パワーブーストサイクロン」(参考価格9万円前後)を今月16日に発売する。従来品より吸引力が強く、ブラシなどの付属品を使い分けて高い場所や配線回り、自動車内などを掃除しやすくした。日立のコードレス式スティック型掃除機の販売台数は伸びており、商品戦略本部の白川浩二部長代理は「ささっと掃除ができる手軽さや軽くて体に負担がかかりにくい構造から高齢者にニーズがある。普段こまめに掃除をしにくい共働き世帯にも受け入れられている」と話す。

コードレス式スティック型掃除機は、国内では1980年代にマキタが業務用に製造を始め、家庭でも根強いファンから支持を集めていたが、大手電機各社が家庭向けに発売している製品は吸引力が弱く、購入者は単身世帯が中心だった。注目を浴び始めたのは11年ごろ。スウェーデンのエレクトロラックス社が発売したデザイン性の高い製品が国内で人気となり、部屋に置いたまま気になった時にすぐに使える利便性が受け入れられた。英ダイソンの製品も人気を博し、国内の電機各社が次々に参入した。

三菱電機は15年にスティック型掃除機と空気清浄機が一体になった製品を発売。今年5月には、連続運転時間を伸ばすなど改良品を発売し、昨年より月1000台増やした販売目標を計画通り達成している。パナソニックは昨年から注力し、目標を1割上回る台数を販売した。GfKジャパンの宮本徹アナリストは「11年以降市場は大幅な拡大を続けており、今後も伸長が見込まれる」としている。

◇キーワード・掃除機市場

日本電機工業会によると、2016年の掃除機の国内出荷台数は、前年比0.9%減の501万7000台で、減少傾向が続いている。種類別にみると、販売数量の割合は、吸い込み口部分と本体がパイプで接続された定番のキャニスター型は全体の46%▽スティック型が32%▽ふとん掃除機などのハンディー型が15%▽ロボット型が5%−−の割合(GfKジャパン調べ)。10年には73%を占めていたキャニスター型が大幅に減る一方、スティック型は12%から大幅に伸びている。「ルンバ」で人気を博したロボット型は、12年ごろから横ばい。

スティック型はコードレス式がけん引している。部分的に取り外して布団用掃除機になったり、空気清浄機を兼ねていたりと、大手電機各社が多機能の製品を発売している。