統合は決め手にならず…地銀「23県で単独存続困難」の衝撃

衝撃的な「報告書」だ――。人口減少や日銀のマイナス金利に苦しむ地方銀行。金融庁の有識者会議が11日、東京都を除く46道府県の地銀の経営状況を調べたところ、地銀1行しかなくても、単独で存続するのが難しい地域が23県もあることが分かった。ふくおかフィナンシャルグループ(福岡市)と十八銀行(長崎市)の統合をめぐって、金融庁と公取委がモメているが、1行に絞っても、半数が経営に行き詰まるというのだ。

報告書は2016年3月末のデータを使い、各道府県で本業の採算が取れて、存続可能な地銀数を簡易的に試算した。東京都は規模が大きく試算できず、対象から外した。「2行が存続できる」のは、宮城、神奈川、愛知、福岡など10府県。「1行なら存続可能」は、北海道、京都、愛媛、熊本など13道府県。「1行でも存続困難」は青森、富山、和歌山、島根、宮崎など23県となった。

「競争しても、存続できるのはわずか10府県ということです。生き残りのための統合という言い方がされてきましたが、統合して1行になっても、半分がアウトということ。公取委は、県レベルでのシェアうんぬんを言っている場合ではない」(地銀関係者)

日銀が昨年4月に公表した「金融システムリポート」でも、商業用の不動産価格が全国平均で2割下落すると、約350の地方銀行や信用金庫のうち約4割が赤字に転じると試算されている。今後、不動産価格が下落すれば、あちこちの地銀はヤバいのではないか。

金融ジャーナリストの小林佳樹氏が言う。

「統合が“決め手”にはならないという試算ですが、統合しないともっとヒドイことになります。“競合不能エリア”というのがあって、競争をすれば共倒れになるケースも多い。公取委も、きめ細かく実情を見るべきだと思います。人口減少はどうしようもない面がありますが、金融政策は手を打てます。多くの地銀は、とにかくマイナス金利を一刻も早くやめてほしいと考えている。金融庁の報告書は、公取委と同時に日銀へのメッセージともいえるでしょう」

「いい談合」じゃないが、「よくない競争」もあるということだ。地銀の危機的事態の出口は見つかるのか。「アベ・クロ」では、無理なことは確かだが。