コカ・コーラ社がレモンサワーに挑む理由 「檸檬堂」シリーズ3品発売

〈九州限定で発売 配布イベントは行列に〉

コカ・コーラシステム初のレモンサワー専門ブランド「檸檬堂(れもんどう)」(350ml缶、150円税抜)が5月28日から九州地区限定で発売されている。日本では初、全世界のコカ・コーラ社の中でも珍しいアルコール飲料の誕生となる。

5月26日に福岡市で行われたサンプリングイベントにはすぐに行列ができ、用意していた6000本がほぼなくなったという。蒸し暑かったこともあり、持ち帰らずにその場で飲んでいく人も多かった。飲んだ人たちからは、「レモンの味がしっかりする」「アルコールの薬品ぽさがなくていい」「これが噂のコカ・コーラが作ったチューハイか」などの声が上がっており、注目が高まっている。

〈市場を牽引する“レモンサワー”を選択 果汁飲料の技術を活用〉

なぜ、レモンサワーを選んだのか。日本コカ・コーラのマーケティング&ニュービジネス本部のパトリック・サブストロームマネジャーは、「アルコール飲料を開発するにあたり、居酒屋を巡ってみるとレモンサワーを出す店が繁盛していました。しかも、どれも個性的でおいしい。缶チューハイ市場でもレモンフレーバーは最も良く飲まれていて、市場全体の成長を牽引していることから、レモンサワーで参入することに決めました」とする。

なお、2017年の国産低アルコール飲料の出荷量は、前年比10.1%増の108万klとなり、10年連続の増加で過去最高を記録した(日本洋酒酒造組合の出荷数量をもとに算出)。

新商品は、レモンとお酒のうまみをより感じられるように、製法にもこだわり、レモンをまるごとすりおろして使用する「前割りレモン」を採用している。コカ・コーラ東京研究開発センターの製品開発コーヒーグループの横山明幸プロダクトマネジャーは、「コカ・コーラ社がお酒を出す意味はどこにあるのか、と自分なりに考えました。その結果、コカ・コーラ社がこれまで培ってきた果汁飲料の技術を、アルコールとうまく組み合わせたらいいものが生まれるのではないかという考えに至ったのです」とした。

このレモンを皮ごとすりおろし、あらかじめアルコールで漬けてなじませる「前割りレモン」の製法は、「ある居酒屋で教えてもらい、これを再現したいと思いました」としている。

〈幅広いニーズに応える3商品を同時発売〉

「檸檬堂」は、アルコール度数や果汁率の異なる3種類「檸檬堂 定番レモン」(レモン果汁10%、アルコール度数5%)、「同 塩レモン」(レモン果汁7%、アルコール度数7%)、「同 はちみつレモン」(レモン果汁7%、アルコール度数3%)を、同時発売していることも特徴だ。

その理由について、サブストローム氏は、「売り場のアルコール飲料の棚を見ると、缶チューハイはブランドによって3%から9%まで幅があった。強いお酒を楽しみたい人から、お酒はそんなに強くないけど気分は楽しみたいという人まで、幅広いニーズが存在しているのでしょう。レモンサワー専門ブランドとして、そのニーズに応えていかないといけないのではないかと考えたのです」。また、「檸檬堂」という和風のネーミングについては、「レモンサワーの人気店は、日本の酒文化の伝統を受け継ぎ、現代的に昇華しているお店が多かったんです。また、今回はアルコール飲料市場に新規参入するので、息の長いブランドとして育てていきたいという気持ちもありました」と話す。

パッケージは、コンセプトの“こだわりのレモンサワーを出すお店”をもとに、職人のような若い大将がする藍染めの前掛けをイメージしたという。

〈過去には九州限定から全国展開した商品も〉

ただ、九州地区限定販売なのは残念なところ。九州限定の理由について、日本コカ・コーラの広報担当者は、「様々なマーケティング調査を踏まえ、九州地区を選定させていただきました。焼酎の本場として知られる九州地区でお客様の声を聴くことで、様々な学びが得られるものと思います」と話す。

日本のコカ・コーラシステムは歴史的に、当初九州地区での限定販売からスタートする商品(「爽健美茶」など)が少なくない。それを踏まえれば、全国展開も十分期待できそうだ。