インフラ観光 広がる東北 ダムや橋、道路… 「現場」の迫力 ツアー参加者1万人超

ダムや橋、道路などを観光スポットとして活用する「インフラツーリズム」が東北で広がっている。普段近づけない現場や目にできない光景が売りで、ツアー参加者は急伸。地域の観光誘客にも一役買う。行政はPRに力を入れながら、受け入れ態勢の整備を模索している。

<水陸両用運航>
東北で催行されたインフラを巡るツアー参加者の推移はグラフの通り。2017年度は1万人を超え、15年度1年間の約7倍に跳ね上がった。
数字を押し上げたのは、16年秋に完成した津軽ダム(青森県西目屋村)だ。17年4月にダム湖「津軽白神湖」で水陸両用バスの運航が始まり、周遊ツアーへの申し込みが相次いだ。
今年5月には乗車人数が1万人に達した。企画するブナの里白神公社(同村)の担当者は「バスが湖面に入る瞬間に歓声が上がる。シーズンが終わる10月までの団体予約は好調だ」と声を弾ませる。
長井ダム(長井市)ではダム湖「ながい百秋湖」のゴムボートツアーが人気を集める。高さ約50メートルの岩壁が約200メートル続く三淵渓谷の景色を湖面から眺めようと観光客が集う。
ツアーを行うNPO法人最上川リバーツーリズムネットワーク(同市)の佐藤五郎代表理事は「ダム湖に流れ込む水の音や鳥のさえずりを堪能できる」とPR。「治水、利水以外でもダムを活用し、地域活性化を目指したい」と意気込む。
市はダム湖の魅力向上を狙い、夏には水陸両用バスの試験運航に乗り出す。7月上旬の3日間に計9便を計画。定員はわずか1週間で埋まった。市の担当者は「来年度からの定期運航につなげたい」と期待する。

<ガイドを作製>
国もインフラの観光活用に注目する。東北地方整備局は16年、他地域に先駆けて管内のインフラを紹介するガイドブックを作製。これまでに第4弾まで計5万1000部を東北や首都圏で配布した。
旅行業界からは「行政の中には、営利目的でのインフラ活用を快く思わない人もいる」(大手旅行会社)との声も上がり、受け入れ環境にばらつきがあるのが現状だ。行政の協力は欠かせず、ガイド役の配置や見学中の安全確保など課題も多い。
整備局の担当者は「普段は足を踏み入れることができない現場の価値を生かしながら、インフラ整備への理解が広まるような仕組みをつくりたい」と話す。