<羽生選手に国民栄誉賞>「心を一つにする存在でありたい」感謝と自覚忘れぬ謙虚さ原動力

2日に国民栄誉賞を受賞した羽生結弦選手(23)=ANA、宮城・東北高出=は、地元仙台市のスケートリンクで東日本大震災を経験した。余震におびえながら避難生活を送り、逆境を乗り越えてフィギュアスケート男子では66年ぶりとなる五輪2連覇の栄冠にたどり着いた。「ここまで切り開いてくださった方々がたくさんいる中で、代表として僕が頂いた」。晴れ舞台で感謝の言葉を何度も重ねた。
「皆さまの心を一つにするような存在でありたい」
人間国宝の甲田綏郎(こうだよしお)さんから贈られた地元伝統の絹織物、仙台平のはかま姿の羽生選手は式典後、引き締まった表情で思いを語った。
偉業への道は試練ばかりだった。
震災後、練習場所の確保に苦慮し、全国各地のアイスショーに出場して技を磨いた。平昌冬季五輪の直前には右足首をけがする困難にも見舞われた。それでも屈しないのは、ファンを含めた周囲の協力を常に意識する謙虚さが原動力になっている。
式典に続き、復興庁で特別感謝状を受け取った時のあいさつに人柄がにじみ出ている。
「僕ができるのは直接的な手助けではないが、自分のスケートが皆さまの幸せ、復興の力のきっかけになれるよう努力を続けたい」
避難生活という過酷な体験をしたからこそ、被災地に向けて簡単に「勇気」や「希望」と口にしない。
「たくさんの方々の力添えがなければ、スケート(を続ける)という選択肢もなかった」。何度も頭を下げ、感謝の思いを伝えた。