<小学校>変わる運動会「春」が定番に 競技種目も減少

小学校の運動会が変わってきた。かつては秋の風物詩だったが、今や春の実施が定番に。しかも校庭でクラスメートや家族らと弁当を食べることもしないし、種目も減っているというのだ。メインイベントに何が起こっている? 【田村彰子】

◇「家族で弁当」中止も

東京・多摩の小学校ではこの春、運動会に関するお知らせが家庭に配布された。「保護者が来られない子どもに配慮するため、今年度から児童たちは弁当を教室で食べます」。この学校に子ども2人を通わせている母親(42)は「自宅が学校から遠い人もいたので、ママ友たちと子どもがいない校庭でお弁当を食べました。間抜けな光景ですよね」と振り返る。

東京都杉並区のある小学校でも、2016年度から家族での弁当が中止になり、今年度から保護者の参加競技もなくなった。父親(49)は「親がいない子どもとの差が出ないように、との配慮があると聞きました」と言う。このような変化について、同区の担当者は「実際に弁当を家族と一緒に食べる学校は減っているようです。保護者が来られない事情に配慮するのもそうですが、地区によっては、児童数の増加で家族で弁当を食べる場所がないことも原因のようです」と説明する。

◇「午前中だけ」増加

運動会の省力化、縮小化は、首都圏だけの現象ではない。愛知県安城市では昨年、ホームページ上に「市民の声」として「共働きの夫婦、乳幼児のいる親、母子・父子家庭の場合、更に負担が増える事に配慮し、弁当の必要のない午前中だけの運動会を市内全ての小学校でお願い申し上げます」とする意見を掲載した。

この声が届いたのか、午前中までの運動会は昨年度まで市内21校中2校だったが、今年度は9校に増えた。同市教育委員会は「時間の短縮化には賛否両論あり、親子で弁当を食べたい方も当然いるので、今後も学校が意見集約をしていくと思います」と説明する。

地方によっては、運動会を地域の一大イベントとして開催しているが、規模の縮小化は避けられそうにない。青森県の教員(28)は「子どもの数が減り、保護者参加の競技も少なくなっています。でも、地域の大事な行事なのでなるべく種目を減らさないようにしています」と打ち明ける。

◇「新しい意義見いださない限り縮小続く」

参加者自らが種目を作って運動会を行う「未来の運動会プロジェクト」に携わる明治大准教授の澤井和彦さん(スポーツ科学)は「共働きなど多様な家庭の在り方とその負担に学校側は配慮しなければなりません。一方、学校側には、運動会の練習時間を減らして学習時間を確保したい事情もあるようです。運動会は『する』『見る』『支える』というスポーツへのあらゆる関与形態が一度に体験できる日本の貴重な文化資産ですが、新しい価値や意義を見いださない限り縮小傾向は続くでしょう」と話している。