ジリ貧のローソンが始めた「コンビニの書店化」がパッとしないワケ

コンビニ業界の知られざる裏側を、内情に詳しいライターの日比谷新太さんがレポートする当シリーズ。前回の「コンビニの新規商品とそのプロモーション」に続き、今回取り上げるのは「本屋としての機能を強化させるローソン」について。リアル書店がどんどん減っていくなかで、コンビニがそれにとって代わろうという試みのようですが、成功するかは微妙だと日比谷さんは分析しています。

書店としての機能を強化するコンビニ

最近のコンビニは雑誌だけでなく、ビジネス書などを置いているところも珍しくないですが、そんなコンビニの書店化がさらに加速しそうな取り組みが、ローソンで始まるようです。

● ローソン、コンビニの「本屋」機能強化 専用棚設置店1000店舗増へ(SankeiBiz)

記事によると、文庫本やビジネス書などを並べる書籍専用棚の設置店を、年内をめどに約4000店に拡大する予定。また書店との併設店や、コミック本の品ぞろえを充実させた店舗も増やすという計画です。

ローソンが展開している書籍専用棚は、一般的なコンビニの雑誌コーナーとは違って、文庫本や料理・健康関連の実用書などを充実させていて、文庫本では映画化やドラマなど映像化された作品などの売れ行きが好調のほか、歴史物なども人気が高いとのこと。

ちなみにこの書籍専用棚を設置した店の平均日販(1店1日当たりの売上高)は、未設置店よりも600円多いというデータも。ローソンは店舗オーナーに積極的に提案し、設置店を増やしていきたいとしています。

先日も、ローソンが大手コンビニ業界で「一人負け」という話を書かせていただきましたが、ジリ貧のローソンとしては、この「書店化」で大きな増収を見込んでいるのかもしれません。

● 【関連記事】苦境コンビニ業界、ローソンの「一人負け」が鮮明になってきた

実現困難な「幅広い品ぞろえ」

Amazonに代表されるネット書店に消費者ニーズが移行したことで、街の書店は激減しており、この19年で9770店が減少しました。

ネットビジネスに書籍がハマった理由としては、ロングテール商品であることで、顧客ニーズを満たすには幅広い品揃えが必要であること等が挙げられます。そのためリアル書店が生き残るには、より広いお店を作って幅広い品揃えを実現する必要がありました。ただ、駅前や住宅街といった地価の高いエリアでは広い店舗を確保することが困難で、そこで郊外へと移転していったのです。

このような外部環境下において、(街中にある)コンビニと書店との融合というのは、戦略ストーリーとしては間違っていません。しかし、そもそものリアル書店の勝ちパターンである「幅広い品ぞろえが必要」という点に関しては、どうやら抜け落ちているようです。

コンビニの店舗面積は大型化しています。30年前は平均で30坪でしたが、最近は40坪超のモデルとなってきています。面積が広くなった分、イートインや多目的トイレなどといった来店動機をつくるサービス設備を充実してきました。ただコンビニ側としても、サービス設備の充実だけでは売上が伸びないため、新しいマーチャンダイジング追加を求めています(ファミリーマートとドン・キホーテのコラボが最近の事例です)。

その点で、ローソンの書籍専用棚はどうでしょうか。今回、実際に店に赴き確認したところ、90cmほどの木製ゴンドラが展開され、そこに書籍が約50アイテムが並んでいました。あえて本屋さんをイメージさせたかったのでしょうが、他のゴンドラと一体感が無くなり浮いていました。

商品陳列には工夫をしているようで、表紙陳列ができるようにアイテム数を調整していました。ただ今後売上が伸びず返本作業が滞ると、この表紙陳列が崩れて背表紙陳列になりそうで、そうなると商品回転率が下がって売上が下がることが懸念されます。

90cmほどの売場で1日600円の増収が見込め、それもリスクが低い(返品できる)商品で売上が上乗せできるという取り組みですが、個人的には正直なところ「他にも取り組むことがあったのではないか?」と考えてしまいます。