「モノ送るならお金送って」支援物資で被災地から悲鳴? 

まるで「同情するなら、金をくれ!!」だな。

西日本豪雨被害がさらに拡大している(12日現在)。広範囲に及ぶ被災地支援も全国で広がるが、物資支援という「善意」が、現場に混乱を招いているという。

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すでに、被災地の一部にはモノがあふれている。今回の豪雨災害に際し、岡山県倉敷市の被災地区・真備などで活動した、支援団体「災害NGO結」代表の前原土武(とむ)さんは言う。

「個人の方が、車に物資を満載にして避難所へやってくる。水もパンも充分にあるが、避難所の住民さんは『いらないとは言えない』と困惑しています」

前原さんによると、報道が少なく物資も届きづらい四国などの一部地区では生活用水にも事欠く一方で、メディアで注目された避難所などを中心に、大量の物資が集まり続けている。

●被災地襲う第2の被害

熊本地震を経験した熊本市の大西一史市長もこう振り返る。

「被災自治体にとって、支援のお気持ちは大変うれしくありがたいものです。ただ、熊本地震後の本市にも大量の物資が届きましたが、人員体制もままならない状態で対応できず、かえって現場は混乱してしまいました。被災者のニーズも刻々と変化します。その結果、ご厚意でいただいた貴重な物資を活用できないまま、ストックとして抱え込むことになってしまいました」

近年の災害では、常にこの「物資問題」が持ち上がる。いまや、個人からの救援物資は「被災地を襲う第2の災害」とまで言われるほどだ。

とはいえ、その行為のほとんどは純粋な善意によるもの。気持ちを生かすためにはどうすればいいのか。各地の災害支援に従事し、物資支援の方法についても発信を続ける、NPO法人レスキューストックヤードの栗田暢之(のぶゆき)代表理事は言う。

「モノの場合は、直接の知り合いや受け入れを表明している団体など、ニーズが明らかで顔の見える相手に、“すぐに”“必要なものだけを”“仕分けやすいように”送ることが大切です」

●支援団体へ寄付も有効

発災直後は、モノ不足ではなく、物流が滞ったために届かないだけ。また、SNSに「◯◯がほしい」という書き込みがあっても、数日後には不要になっていることはザラだ。種類も質も量もバラバラで、仕分けに人手がかかる個人からの物資は不良在庫となり、支援活動の妨げにさえなることもあるという。「ならば」と栗田さんは続ける。

「お金が一番です」

個人が被災地に送るお金は、大きく分けてふたつ。ひとつは、現金給付など直接的なかたちで被災者に届く義援金。もうひとつが、NPOなどの支援団体に寄付する支援金だ。日本赤十字社などが募る義援金は信頼性が高く、被災者の生活再建にも直結する。一方で、公平性が重要なため、発災後ある程度の時間がたち、被害の全容が明らかになってから支給される。支援団体への寄付は支援先選びが難しいが、災害支援に即座に役立てられる。

「どちらも大切なお金です。お金を出す人の思いに沿う団体に送ってくれるのが一番です」(栗田さん)

先述の前原さんのもとには、「水を100ケース送りたい」といった相談が届く。しかし、前原さんはこう話す。

「お断りしています。その代わり、その分のお金を災害支援のプロに預けてほしいとお願いしています。お金は何にでも化けます。必要なタイミングでモノに換えられますし、物資以外の支援にも活用できます」

特に、今回の被災はモザイク状で、市町村全域で機能不全に陥った場所はない。倉敷を例にとると、被害は旧真備町に集中し、市内ではスーパーもホームセンターも営業している。そこに物資を送る必要はあるのか。善意を無駄にしないためにも、一度立ち止まって考えたい。(AERA編集部・川口穣)

<おもな義援金の振込先と支援情報>
■日本赤十字社
・ゆうちょ銀行 00130−8−635289「日赤平成30年7月豪雨災害義援金」
・三井住友銀行 すずらん支店(普)2787545「日本赤十字社」
・三菱UFJ銀行 やまびこ支店(普)2105538「日本赤十字社」
・みずほ銀行 クヌギ支店(普)0620405「日本赤十字社」

■中央共同募金会
・ゆうちょ銀行 00180−7−634691「中央共同募金会平成30年7月豪雨災害義援金」
・三井住友銀行 東京公務部(普)0162596「(福)中央共同募金会」
・りそな銀行 東京公務部(普)0126799「(福)中央共同募金会」

■ボランティア
募集を始めた自治体がある。全国社会福祉協議会の災害ボランティア情報のページ(https://www.saigaivc.com/)で募集状況を確認できる