いつまで続くテレビ衆愚選挙

 東京都知事選挙の終盤に、複数のメディアから、テレビと選挙とか、パフォーマンスが面白い泡沫候補のテレビ人気とか、テレビにかかわるコメントをいろいろ求められた。私はへそ曲がりなので、相手の意図に素直には答えず、結果、水をさす回答ばかりしたような気がする。いよいよ意地悪ばあさん風になってきた。

 基本的に私は、テレビ選挙は本質を誤らせる危険を孕んでいると考えている。候補者の政治信条や確たる信念よりも、テレビに映ったときの印象(ルックスや態度物腰、言葉の訛り、頭のはげ具合!)で視聴者の好感も反感も決まる。特に女はテレビ映りに敏感だ。だから今回、選挙参謀の佐々淳行さんが、石原さんに「キレるな、ニコニコしてろ」と命じた作戦はまんまと成功した。当選した途端にゴーマンイシハラに戻ったから笑ってしまうが。

 メーンの4候補者がニュースショーに出演したときの模様について、あるウォッチャーは細かいチェックをしていた。曰く、「石原さんは右耳に手をやって音を集める仕草をしていたから、寄る年波でちょっと耳が遠いんじゃない?」。曰く、「若い頃はハンサムだったけど、黒川さんはシワだらけ。外国ばかり行っているので時差で年より老けている」。曰く、「浅野さんは大東京の顔になるには貧相すぎるご面相だ」、曰く、「吉田さんのあのニコニコ顔がくせ者だ」etc.

 要するに視聴者の大多数はマニフェストとか彼らが語る政治信条を聞いてはいなくて、見かけで採点している。これはよくない。今、フランスも大統領選挙で燃えていて、美人の女性候補が注目を集めている。7月の参議院選挙でも、さぞかしマドンナもどきに女性候補がカメラの露出を増やすかと思うと今からうんざりする。そろそろ有権者もカメラを通してみていても、候補者の外面に捉われずに政治家の本質を喝破する眼力をもたねば、いつまでたっても「テレビ-衆愚」選挙は変わらない気がする。(麻生千晶=作家)

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