スマートシティー しのぎ削る受注競争

東日本大震災で被災した宮城、福島、岩手3県の自治体向けに、電機メーカーがIT技術を駆使した環境配慮型都市「スマートシティー」構想の提案を強化している。富士通が福島県に提案したのに続き、日立製作所、NECも組織的に街づくりの売り込みに乗り出した。被災地復興に民間資金を活用しようとする自治体側の期待もあり、各社は受注競争にしのぎを削っている。(今井裕治)
 NECは7日付で、被災地へのスマートシティーの売り込み強化に向けて「震災復興推進室」を立ち上げた。営業や企画など計50人で構成するチームが、ITで電力や物流を管理する仕組みを30以上の自治体に提案する方針だ。
 富士通はグループの半導体工場がある福島県会津若松市で、太陽光発電などをITで管理するスマートグリッド(次世代送電網)構築などを目指している。そこで培ったノウハウを生かして同県いわき市や他の被災地にモデルを広げる。
 日立は仙台市の東北支社内に、10人超で構成する専門チームを立ち上げ、営業活動を強化。中西宏明社長は「被災3県の10以上の自治体に提案している」と話し、商機獲得に全力をあげる構えだ。
 各社のスマートシティー構想は、太陽光や風力発電に蓄電池、省エネ家電を組み合わせたシステムをITで制御し、省エネ型の街をつくるものだ。宮城県の村井嘉浩知事が復興計画の中で導入の方向を打ち出すなど、被災自治体が相次ぎ検討を進めていることが導入機運を盛り上げている。
 実際、復興計画に民間ノウハウや資金を生かすことができれば、財政難に苦しむ政府や被災自治体にとって復興予算の圧縮につながる効果も期待できる。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「民への移行を積極的に進めることが、先々の復興には効果的」と指摘する。
 さらに各社が被災地復興の先に見据えているのが海外展開だ。世界では2030年までにスマートシティーの関連投資が計約3100兆円にのぼるとの予測もあり、被災地で積み上げた実績をテコに「海外での受注につなげる」(大手電機幹部)戦略を描いている。