摩周湖の底に大型生物の可能性

北海道の摩周湖(川上郡弟子屈町)の湖底に生物が歩いたとみられる痕跡が大量に見つかった。国立環境研究所を中心とした研究チームは、大型の底生動物がいる可能性があるとみて捕獲作戦に乗り出すという。

2014年には水中で謎の浮遊物が見つかったばかりで、「神の湖」と呼ばれる摩周湖でいったい何が起きているのか。生物ファンは謎の生物発見か、と色めき立っている。

最深部には微生物しかいないと考えられてきた

朝日新聞が研究チームと協力して撮影した動画には、211メートルの最深部に生物の足跡のような凸凹が確認された。同紙によると、これまで生物が見つかった最も深い部分は176メートルで、1974年にユスリカの幼虫が見つかっただけだという。

同紙の取材に対し、底生動物に詳しい金沢大環日本海域環境研究センターの西川潮准教授は「生物(がつけた)とみるのが自然」、北海道立総合研究機構稚内水産試験場の川井唯史主査は「生物の痕跡だと思う」とコメントしている。

一報に色めき立ったのが生物ファンだ。これまで最深部には微生物しかいないと思われてきただけに、

「なんかワクワクするw」
「うおお、どんな生き物だ? 何食って生活してるんだ!? めっちゃ気になる!!」

とツイッターなどネットで盛り上がっている。

また同じ湖のイギリス・ネス湖のネッシーを連想したのか「マッシー」説を唱える人も少なくない。もともと北海道の湖には大アメマス伝説が数多くある。摩周湖でも棲んでいた大アメマスが洪水の遠因になったという言い伝えもあるだけに、

「摩周湖底にUMA(未確認生物)か」
「川口探検隊長の出番です」

とはしゃぐ人も出始めた。摩周湖は学術調査以外での立ち入りが厳しく制限されているだけに、湖の神秘にロマンをはせる人が多いようだ。

ザリガニが残した跡の可能性も

ただ西川、川井両氏は朝日新聞の取材に対し、「断定はできない」としながらも足跡は「ウチダザリガニ」が残した可能性を指摘している。

もともと摩周湖は川の出入りがないためか、魚類などは生息せず、エゾサンショウウオがいただけだった。しかし1926年にニジマスの採卵ふ化事業が始まり、ニジマスの放流に合わせてエサとして放流されたのがアメリカ産のウチダザリガニだった。

実はこのウチダザリガニは日本生態学会が指定した「日本の侵略的外来種ワースト100」に選ばれている厄介者だ。在来生物の生息地を奪い、水草や水生生物を食べてしまうため、生態系への影響が大きい。

しかし、ウチダザリガニの体長は15センチほど。摩周湖の湖底にいる生物としては大型かもしれないが、「マッシー」を期待する人からすれば物足りない。

「ウチダザリガニかなあ。外来生物なんかじゃない、もっとロマンチックな生き物が正体だったらいいなあ」

夢とロマンを追う人々が未確認生物説を盛り上げているようだ。

 

ニュース

Posted by takahashi