<TPP合意>東北経済界 おおむね歓迎

環太平洋連携協定(TPP)が大筋合意してから一夜明けた6日、東北の経済界はおおむね好意的な反応を見せた。市場開放によって自動車部品やコメの関税が撤廃されることが輸出に追い風とみる関係者が多い。輸入品の値下げにつながるかどうかは慎重な見方もあった。

関税が撤廃される自動車部品。トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)が設立されて3年がたち、産業の裾野は着実に広がっている。
みやぎ工業会の竹渕裕樹理事長は「輸出が増える可能性があるのは歓迎すべきこと。自由貿易の下、品質と価格で戦いを挑める企業が出てくるかもしれない」と希望を抱く。
コメの自由化をめぐっては、生産現場の警戒感が強い一方、輸出を目指す事業者は好機と捉える。
2013年からコメ流通に本格参入しているアイリスオーヤマは今夏、マレーシア輸出を始めた。大山健太郎社長は「東南アジアの一部の国で関税が撤廃されれば、当社の生鮮米や各地の特Aブランド米など高品質農産品の輸出促進につながる」と歓迎する。
日本酒の分野でも期待が高まる。欧米に輸出している宮城県内の酒蔵は「今後も増やしていく方針で合意は追い風」と声を弾ませる。各地の地酒やワインを扱う 酒販店、錦本店(仙台市青葉区)の高橋洸太店長は「世界に打って出る酒蔵は少ない。TPPが認知度を高めるきっかけになればいい」と歓迎した。
日本貿易振興機構(ジェトロ)は東北の農水産物の輸出促進を図ってきた。寺田佳宏仙台貿易情報センター所長は「高品質な東北の製品は世界が認めている。輸 出のドアが大きく開くチャンスを生かせるよう、有効な振興策を打っていきたい」と話す。七十七銀行も「海外ビジネスを検討する企業増加が予想される。当行 のネットワークを活用したい」と支援する方針だ。
一方、輸入品の値下げには懐疑的な声も。仙台名物の牛タンは「原材料費が高騰しており、コストが下がるとは言い切れない。情報収集の段階」(牛たん振興会事務局)という。
TPPの各分野への影響について総合商社のカメイは「効果がすぐに表れるかどうか現段階では分からない。消費者ニーズの動向を見極めたい」と説明した。

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Posted by takahashi