震災後の幸福感描く 岩井監督が新作映画公開

東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く」の作詞を手掛けた映画監督岩井俊二さん(53)は、最新作「リップヴァンウィンクルの花嫁」で、震災を経た現代 社会の幸福観を詩情あふれる映像で描いた。出身地の仙台市を今月訪れた岩井さんは「信じていたものが崩れ続ける中を生きなければならない3.11以降の日 本を見つめた」と語った。
東京に一人で暮らす派遣教員の皆川七海。おとなしい性格で、本音を出せるのは会員制交流サイト(SNS)だけ。そこで結婚相手も見つけたが、家庭に入って早々、夫の浮気が発覚。SNSで「なんでも屋」に調査を頼む。普通の幸せはあっさりと崩れてしまう。
インターネットや流通、ライフライン。多様なサービスが当たり前のように暮らしを支える。「サービスは表裏一体で薬にも毒にもなる。過ぎればむしばまれ、提供する側にもしわ寄せがいく」。際限のない幸福の追求が社会のひずみを生むと感じる。
サービスで保たれた日常を一瞬のうちに奪った震災。新たな人のつながりが生まれた一方、貧困や格差、不寛容さもあらわになった。
「『絆』という言葉が躍ったこの5年で、今の分かり合えない社会が垣間見えた。まずはそこに向き合い、どう生きていくかを探りたい」
主演は黒木華さんで綾野剛さん、Coccoさんらが出演する。青葉区のフォーラム仙台、山形市の「MOVIE ON やまがた」、福島市のフォーラム福島などで公開中。上映時間は3時間。

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Posted by takahashi