「ら抜き」に加え「さ入れ」の傾向も強まっているそうだ…

「ら抜き」に加え「さ入れ」の傾向も強まっているそうだ。文化庁の2015年度「国語に関する世論調査」

▼「今年は初日の出が見れた」「早く出れる?」という「ら抜き」言葉を使う人の方が「見られた」「出られる?」と言う人をわずかに上回った。「ら抜き」が多数派になったのは、1995年度の調査開始以来、初めてだとか

▼余分な「さ」はこんなふうに。「絵を見させてください」「私が読まさせていただきます」。共通語なら「見せてください」「読ませていただきます」が正しい。「見させて」は33%、「読まさせて」は23%が「使う」と回答した

▼敬語も怪しい。「うちの子におもちゃを買ってあげたい」と言う人は57%、「植木に水をあげる」は34%、「相手チームにはもう1点もあげられない」は21%。いずれも「あげる」ではなく「やる」でいい

▼ただし、「見られる」の「られる」は、可能、受け身、尊敬のどれにも使えて紛らわしい。「見れる」なら可能の意味に限定されるので、文法としては合理的なのかもしれない

▼表現が時代と共に移ろうのは、自然なことでもある。「知っている言葉」に関するベネッセなどの調査によると、親世代と比べて高校生世代があまり知らない言葉は「阿漕(あこぎ)」「イデオロギー」「忌憚(きたん)」「見紛(まが)う」「活路」「経団連」「骨子」「こきおろす」など。「最近の若者は」とこき下ろしても、詮なしか。
=2016/09/28付 西日本新聞朝刊=