日本人が最も食べる果物は7年連続バナナ 1世帯年間20キロ

総務省統計局の調査によると、日本人がもっともよく食べる果物は04年にみかんを抜いて以来、7年連続でバナナがTOPをキープしている。08年以降、1世帯(2人以上)あたりの年間バナナ消費量は、平均20kg以上。
 日本バナナ輸入組合が2011年に実施した消費動向調査では、バナナを食べる理由として、「値段が手頃」60.9%に次いで、「健康によい」55.0%、「栄養に優れている」49.9%と、機能的な部分に期待する回答が目立った。
 また、「食べやすい」41.1%、「腹持ちがする」30.8%、「消化がよい」23.2%なども評価されていることから、身近で手軽な栄養源として広く食べられていることがわかる。
 実際にどんな栄養価があるか調べてみると、“7年連続首位も納得”のデータが次々に現れた。まず、カリウムやマグネシウムなどのミネラルから、ビタミンB群やE、食物繊維など、摂取できる栄養成分の種類が非常に多い。アミノ酸では、体内で合成できず、食品から摂取する必要のある「必須アミノ酸」9種類のうち、8種類が含まれている。エネルギー量は100g(1本)あたり86kcalと、ほかのフルーツに比べて高めではあるが、朝食やおやつとして食べるなら、気にするほどの摂取カロリーではない。
 女性にとって嬉しいのは、“美容ビタミン”が豊富なこと。美容ビタミンとは、ビタミンB群の中のB2やナイアシン(B3)、B6のことで、糖質・脂質・タンパク質などのエネルギー代謝に関わっている。これらが不足すると、タンパク質によって作られる皮膚の合成や、皮脂のコントロールに影響することから、肌荒れにつながるといわれる。
 バナナのなかでも、黄色く熟したものには、これらの美容ビタミンが他のフルーツに比べて非常に多く含まれている。さらに、この“黄色バナナ”は、身近な野菜やフルーツのなかで、活性酸素を除去する能力が、もっとも高いこともわかっている(東北大学・大久保一良教授らの研究による)。
 活性酸素は、体内の細胞や組織をサビつかせ、しわやシミばかりでなく、生活習慣病やがんなどの原因になると指摘されている。つまり、バナナには“アンチエイジング”効果も期待できるということになる。
■期待する効果によって選ぶ「バナナのベストタイミング」
 ほかのフルーツにはないバナナの特徴として、栄養素が豊富なこと以外に「熟度によって、期待できる健康効果が変わる」点が挙げられる。
 例えば、店頭に並んだばかりで、まだ軸や末端に青みの残る「青めバナナ」には、整腸効果が期待される。これは、食物繊維と同様のはたらきのある“難消化性デンプン”が多く含まれるためだ。難消化性デンプンは、バナナが熟すにつれて分解され、糖に変わる。そのため、バナナはだんだん甘くなる。便秘で悩みがちなら、まだ熟しきっていない青めバナナのさっぱりした甘さを楽しむとよいだろう。
 そして前に述べたように、全体が完熟した「黄色バナナ」には、とくに美容やアンチエイジングといった効果が期待できる。
 バナナがさらに熟していくにつれ、皮には“シュガースポット”と呼ばれる茶色い斑点がポツポツと現れ、徐々に広がって、全体が茶色くなってくる。この「茶色バナナ」に期待されるのは、免疫力向上効果と、胃かいようの抑制効果。
 免疫力については、追熟したバナナを食べたマウスの血中で、免疫活性を高めるIL-12という物質が増えたという研究結果が発表されている。
 茶色くなったバナナには、フルーツには珍しいリン脂質が含まれる。リン脂質の働きとしては、胃粘膜を保護して、胃かいようを抑制するというデータが出ている。牛乳とバナナを混ぜると、胃粘膜保護効果が向上することもわかっているので、胃に悩みのある人は、茶色バナナをバナナシェイクにして飲むのがオススメだ。
 また、バナナには、エネルギーに変わりやすい糖も、ゆっくり消化される糖も含まれているため、即効性と持続力の両方があり、オリンピックに出場するような第一線のアスリートも活用。これから始まるロンドンオリンピックのTV中継、ウォームアップエリアなどでバナナがチラッと映る……なんてシーンもありそうだ。
 アスリートだけでなく、成長期の子供から、忙しいビジネスマンや美容への意識の高い女性、高齢者まで、バナナはどの世代にとっても嬉しい栄養素が充実している。食べやすさや手頃さだけじゃなく、欲しい栄養や効果を狙って「青バナナ」「黄色バナナ」「茶色バナナ」を食べ分けるなど、少し意識するだけでもバナナの楽しみ方は広がりそうだ。

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Posted by takahashi