何にでもトリュフ現象のなぜ 焼きそばやクッキーまで

手ごろなトリュフ専門店のオープンが話題になった2017年夏(関連記事:格安「トリュフ料理専門店」増殖中 ラーメン店風も)。この秋は、トリュフを使った食品の発売も相次いでいる。キッコーマン食品は2017年8月21日、トリュフとポルチーニを使用したステーキ専用ソース「キッコーマン ステーキしょうゆ トリュフ&ポルチーニ風味」を発売。日清食品チルドは、「日清の太麺焼そば トリュフ香るバター醤油味」を2017年9月1日に発売した。

【関連画像】「日清の太麺焼そば トリュフ香るバター醤油味」(2人前、希望小売価格229円)。しょうゆ味をベースにトリュフとバターの風味を利かせている

 ポテトスナックやポップコーンなどのトリュフ風味は珍しくなくなったが、去年から今年にかけてはさらに広がりを見せている。2016年12月には亀田製菓が「亀田の柿の種」のコンセプトショップ「TANEBITS」(タネビッツ)から「クラックピーナッツ 白トリュフ塩仕立て」(以下、クラックピーナッツ)を発売。東ハトは2017年7月、白トリュフ塩を使用した「ポテトリュフ・トリュフ塩味」と黒トリュフ塩を使用した「ポテトリュフ・トリュフバター味」を発売(どちらも現在は終売だが、リニューアル発売を検討中)、さらに10月には黒コショウとトリュフソルトを利かせたチェダーチーズ風味のクッキー「ソルティ・焦がしチーズ」を発売している。

世界三大珍味のトリュフがなぜ今、しょうゆ、焼きそば、ピーナッツ、クッキーといった身近な食品にこれほどまで使われているのか。また本当にトリュフの香りが楽しめるのか。

トリュフしょうゆの卵かけご飯は、驚きの高級感

 キッコーマン ステーキしょうゆ トリュフ&ポルチーニ風味は、「監修していただいた銀座うかい亭からは『うまみがあるソースでサシが少ない肉にも合う』との感想をいただいている」(キッコーマン食品)とのこと。焼肉に使ってみるとトリュフの香りと醤油が違和感なくマッチし、たしかに輸入物の安い赤身肉に高級店のステーキのような風味がついた。

だが驚いたのは、卵かけご飯に使用したとき。トリュフ専門店で食べたトリュフを使った卵料理がおいしかったことから試したのだが、予想外の高級感で、「卵かけご飯のためにだけ買ってもいい」と思える味。トリュフと卵、しょうゆの相性の良さを改めて感じた。

日清の太麺焼そば トリュフ香るバター醤油味は、「日常的な焼そばを少しぜいたくに楽しく味わっていただけるように商品化した」(日清食品チルド)とのことで、しょうゆ味をベースにトリュフとバターの風味を利かせているのが特徴だ。強烈な香りではないが、かんだあとにフワッとトリュフの香りを感じる。トリュフ好きにはやや物足りないかもしれないが、トリュフ初心者にも抵抗なく食べられそう。

ソルティ・焦がしチーズは個包装で、封を切るとトリュフが香る。いわゆる“塩スイーツ”だが、トリュフとバターの香りが一体となり、そこに黒コショウのピリッとした辛味が最後に来る。重層的な味わいの大人のスイーツという印象で、ワインやシャンパンが欲しくなる味だった。

トリュフブームの火付け役はラーメン!?

 なぜ、トリュフ風味を採用した商品が増えているのか。「クラックピーナッツ」を発売した亀田製菓によると、「『タネビッツ』は、“プレミアムな亀田の柿の種”とうたっているブランド。それに相応しい、市場で数少ないがおいしいもの、希少価値のあるものとしてトリュフ味を選んだ」(亀田製菓)。トリュフを使用した食品が増えている理由については、「最近は手に届く範囲でこだわりあるものを体験できることが受け入れられていると感じている。トリュフには味だけでなく『香りを楽しむ』という新しさがあり、それが受けているのでは」(同)。

また今年のトリュフブームの要因として挙げる声が多かったのが、トリュフが身近な食材になってきていることだ。「有名人が料理にトリュフ塩を使用していることを公表したことをきっかけに、それまであまり知名度が高くなかったトリュフ塩が注目され、食品セレクトショップで取り扱いが増えている」(東ハト)。「トリュフを使った飲食店がテレビ番組で取り上げられることも多く、以前よりも身近な存在になっていることも理由の1つでは」(キッコーマン食品)。「ラーメン店でのトッピングなど幅広い層に受け入れられるようになってきていることや、トリュフ塩のような調味料が話題となり、少しずつ身近なものになってきている」(日清食品チルド)。

たしかに最近、トリュフオイルを味のアクセントに使用したラーメンメニューをあちこちで見かけるようになった。きっかけは世界で初めてラーメン店としてミシュランガイドで一つ星を獲得した「Japanese Soba Noodles 蔦」がトリュフペーストを使用したラーメンを提供したことだろう。コンビニでもその味を再現したカップラーメンを販売しているので、食べたことがあるという人も多いはずだ(関連記事「サークルKサンクスから『蔦』監修の冷やし麺!」)。

また今回紹介した商品がトリュフそのものではなく、トリュフ塩などを使用していることにも注目。レアな食材をそのまま身近な食品に転用するのは難しいものだが、二次加工品が注目されたことも、商品に取り入れやすくなった理由といえそうだ。

(文/桑原恵美子)