堀江貴文氏が予言 「上場企業は時代遅れになる」

「『働き方改革』などいらない! 大切なのは…」──テレビや新聞で連日のように「働き方改革」という言葉が喧伝される中、堀江貴文氏が最新刊『属さない勇気』で、働き方や生き方の未来について新たな提言をしている。そこで、同書に記された自己改革のためのヒントを、短期集中連載で特別に教授。第1回は、仮想通貨やオンラインサロンなど、ビジネスの新たな枠組みの可能性について解説する。堀江氏が考える個人の市場価値を高めるために必要なこととは?

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私たち「個人」の持つ“コミュニティの力”が、「会社」の持つ“組織の力”を上回る時代がやってきた。

例えば、私の主宰する会員制コミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校」(HIU)では、会員たちが自主的に好きなこと、面白いと思うことだけに取り組んでいる。

メインのFacebookのグループに加え、約30個の分科会で構成され、メンバーたちはやりたいことを、自分たちのペースでカタチにしている。ビジネスも遊びも、とにかく全力でやる気のある人たちが集い、交流し、新しい価値を生み出していく。

HIUは2014年8月の発足以来、月会費1万円ながら、会員数は3年余りで2000人に達しようとしている。この中から新感覚の商品やサービス、遊びが次々と誕生し、大きなビジネスへと成長しつつあるものも少なくない。

最近では2月初めに2日間にわたり、東京・六本木で行った街中フェス「ホリエモン万博」を、メンバーらが自主的に取り仕切った。1万人規模の集客を目指し、著名人のトークイベントのほか、ロケット展やワインフェス、落語、音楽、映画など30以上の企画を様々な会場で催し、数千万円の予算規模のイベントに仕上げた。

この新感覚の街中フェスは、すでに国内外で定期的に開催しているが、六本木のイベントはハロウィンイベント同様、毎年恒例の新たな「大人の文化祭」として、東京に定着させることを目標にしている。すでにビジネス的観点からみても、十分な手応えを感じている。

HIUは、会員数や事業規模だけで考えても、すでに大企業クラスの力を持つようになった。何より、自分たちが好きなものを作ったのだから、消費の「最初の受け皿」にもなってくれるし、消費者側の率直な意見をいち早く聞き、スピーディに改善することが可能だ。

「会社」でも「仕事」でもない枠組みの中から、縦横無尽に新ビジネスが誕生し、消費され、改良が加えられているのだ。いぶかしい社内販売や足の引っ張り合いが横行しがちな会社組織では、まずマネはできない。

◆社内政治に長けたサラリーマンは何の役にも立たない時代になる

いま、こうした会社組織ではない枠組みが急速に増え、しかも存在感を高めている。HIU同様の「オンラインサロン」を主宰する著名人やビジネスパーソンが増えており、主宰者とメンバーの双方にとって多大な利益がもたらされているのだ。オンラインサロンとまでいかなくとも、SNSを使って、同様の枠組みを簡素に作ることも可能だろう。

もはや会社に属さなくても、商品やサービスを生み出し、気の合う仲間と働ける仕組みは整いつつある。会社じゃないから、嫌なことはしなくていいし、労働時間や賃金の制約もない。政府が掲げる「働き方改革」などとは、無縁の世界だ。

昔は大企業をつくった方が資金調達をしやすかったから、多くの起業家は株式の上場を目指した。しかし、最近はICO(仮想通貨を使った資金調達)が出てきて評価経済になってきたから、上場を目指さない起業家が増えている。

実際、資金は仮想通貨やクラウドファンディングなどで、十分に調達できるようになった。上場企業はいずれ、時代遅れの形態になるかもしれない。

ビジネスパーソンを取り巻く環境も、大きく変わりつつある。会社という閉鎖的な枠組みの中での評価ではなく、本当の意味での「個人の市場価値」が顕在化され、株式のように取引されるサービスが広がりつつあるのだ。

社内政治に長けたサラリーマンなど、何の役にも立たない時代になるだろう。

こんな時代に、誰もが個人の市場価値を、手っ取り早く高める方法が一つだけある。好きなこと、面白いと思うことに片っ端から取り組み、複数の「肩書き」を掛け合わせ、オンリーワンの存在になることだ。

自身のキャリアに専門性がなく、先行きを悲観している中高年サラリーマンにだって、全然遅くはないはずだ。大切なのは、政府が唱える「働き方改革」などではない。変わりゆく時代に適応するために、“あなた自身が、あなた自身のために行う改革”である。

※堀江貴文・著/『属さない勇気』より