空のもてなし 宮城観光に JAL→県庁出向の西村さん、接客のこつ伝授

日本航空(JAL)の客室乗務員としてキャリアを積んできた西村淳子(あつこ)さん(49)が、4月から宮城県観光課の上席観光交流推進員として活躍している。世界の空で培った接客術を県内各地で伝えている。

県庁で6月下旬にあった接客マナー研修会。西村さんは講師として、宮城ふるさとプラザ(東京)の従業員約15人の前に立った。ピンと伸びた姿勢、めりはりの利いた発声などを実演し、クレーム対応時の視線の合わせ方など、実践的なおもてなしのすべを紹介した。
研修を終えた男性職員は「現場の目線に立って話しをしてくれるので理解しやすく、とても勉強になった」と話した。
西村さんは京都出身、1989年JAL入社。国際線の客室乗務員として世界の空を飛び回り、国内外の搭乗客に接してきた。新入社員や後輩の指導役も経験。営業販売を担うグループ会社では企業の社長や役員を担当したこともある。
県への出向は、JALと県が3月に結んだ連携協力協定に基づく人材交流の一環だ。県外の小中学校などに、県内への教育旅行をPRする仕事も担う。
県庁勤務は直前に上司から知らされた。「全く異なる環境で自分の経験が生かせるのか、役に立つのか。今も不安がある」と西村さん。自分が身に付けたスキルを相手に分かりやすく教えることの難しさを実感する日々だが、接客の基本や楽しさをありのままに伝えることを心掛ける。「もてなすということは相手のことを一番に考えること」。信念は揺るがない。
地方の観光地を訪れると、おもてなしの意識に物足りなさを感じることもあるという。「接客の質を上げればまた来たいと思ってもらえる。宮城でしか感じられないことを世界中の人に体験してもらいたい」と笑顔を見せた。