ユニーファミマ、ドンキ化した店舗の売上が爆増で、コンビニもスーパーも「ドンキ化」ラッシュ

ユニー・ファミリーマートホールディングスは7月17日、ドンキホーテホールディングスとの共同実験店舗の実績を公表した。

実験は、6月1日から目黒区の「ファミリーマート大鳥神社前店」と東京都立川市の「ファミリーマート立川南通店」、6月29日から世田谷区の「ファミリーマート世田谷鎌田3丁目店」の合計3店舗で開始した。

商品をうず高く積む「圧縮陳列」など、ドン・キホーテのノウハウを採用したほか、多数のドンキの商品を含め、取扱商品を従来比で約1.5~1.7倍にした。

開始から1カ月経過した2店舗の平均で客数は約1.3倍に増加。品揃えを強化した酒類の売り上げが約1.5倍、ドンキで売れ筋の携帯関連グッズや靴下などの日用品も約2倍に伸長し、全体の売上高が約1.5倍に増加したという。

立川南通店は道路に面した駐車場付きのオフィス街の立地。大鳥神社前店は住宅街とオフィス街が混在した地域の立地で駐車場はなく、店舗の上層階は病院というビルインタイプだ。世田谷鎌田3丁目店は住宅街立地である。ユニーファミマでは、さまざまな立地で実験店舗の検証を行う方針としている。

●ドンキとの実験店は「コンビニ離れ」の打開策

ユニーファミマの2018年3~5月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる営業収益が前年同期比2.0%増の3165億円、営業利益に当たる事業利益は同7.8%増の203億円、純利益は同61.7%増の137億円だった。コンビニエンスストアは、サンクスやサークルKからファミリーマートに転換した店舗が好調だったほか、直営店の削減やキャンペーンが奏功した。総合スーパー(GMS)のユニーは、香港事業売却が利益を押し上げた。

コンビニエンス(CVS)事業の営業収益は1333億円で、前年同期より98億円減った。事業利益は136億円、四半期の最終利益は67億円で、それぞれ同16億円、32億円増加した。

ブランドを転換した店舗の収益が改善して増益になった。ブランド転換店は3973店。日商(1日の売り上げ)は転換前から10%増えて50.6万円、客数も11%増えて821人だった。

不採算店を閉店したこともあり、ブランド転換店を含む既存店の売り上げは1.2%増えた。しかし、日商がファミマより低いサンクスやサークルKを抱え込んだ影響もあり、既存店の日商は51.2万円と前年同期より6000円減った。日商を引き上げることが喫緊の課題だ。

日本フランチャイズ協会の統計によると、今年6月のコンビニ既存店の来店客数は前年同期比1.9%減と、28カ月連続のマイナスとなった。ドラッグストアやディスカウントストアなど異業種との競争激化が背景にある。

ファミマはドンキとの実験店を、消費者のコンビニ離れに対する打開策と位置付けている。

●ユニーは脱GMSで、ドンキ化に転換

ユニーファミマの懸念は、ユニーだ。ユニー単体の3~5月期の営業収益は1439億円と、前年同期比で78億円減った。事業利益も2億円減の60億円。

不振のユニーのテコ入れとして、資本・業務提携したドンキと組み、GMSをディスカウントストア(DS)に業態転換中。

DS転換1号店は横浜市のユニーGMSのピアゴ大口店を改装した「MEGAドン・キホーテ UNY大口店」。同店を含め、今年3月末までに6店を刷新した。

ドンキとの新業態店6店の3~5月期の実績は、売上高は転換前の32億円から64億円に倍増。1日当たり客数は合計で1.9万人から3.4万人へ1.7倍、粗利益は8億円から13億円へ1.6倍に増えた。

転換前は食品と非食品の売り上げ構成比は7:3だったが、転換後は6:4になった。特に住居関連の売り上げが伸びた。客層では、GMSでは取り込めなかった、学生を中心とした若い客層と、30~40代のニューファミリー層が大きく伸長した。いずれもドンキとともに育った世代といえる。

GMSのDS転換の手応えは十分。ドンキ流の6店の売り上げや客数の伸びなどを検証し、最大で年間20店規模で、アピタ、ピアゴをDSに転換する。ファミマのコンビニとGMSは、“ドンキ化”が急速に進むことになる。
(文=編集部)