文化庁が25日公表した平成29年度国語に関する世論調査では、カタカナ語の理解状況についても尋ね、官公庁で訪日外国人旅行(者)という意味で使われる「インバウンド」と、共同事業体を指す「コンソーシアム」の意味が分からないと回答した割合が5割を超えた。

外国人観光客の急増で注目されるインバウンドなど、一部のカタカナ語が定着していない実態が浮かんだ。

調査は、外来語や外国語のカタカナ表記について、国民がどのように受け止めているかを把握するため、(1)指針・ガイドライン(2)作業部会・ワーキンググループ(3)共同事業体・コンソーシアム(4)訪日外国人旅行(者)・インバウンド(5)追跡調査・フォローアップ(6)意見公募・パブリックコメント-という漢字を用いた語とカタカナ語の6つの組み合わせについて、「同じ意味か、使い分けができるか」を尋ねた。

これらは国立国語研究所「外来語言い換え手引き」(18年)で言い換えが提案された代表的な5つの語に、文化庁のほか各省庁で一般的に使われる「インバウンド」を加えたもので、いずれも同じ意味という前提。官公庁の文書ではカタカナ語がよく使われている。「カタカナ語を使う場合、微妙に意味合いが違うと考えている可能性がある」として「使い分けができるか」も合わせて尋ねた。

調査結果によると、ガイドラインと指針、ワーキンググループと作業部会を「同じ意味だ」と回答した割合は、それぞれ約4割と比較的高かった。「漢字を用いた語の意味しか分からない」は1割未満で、文化庁は「カタカナ語が長く使われ定着してきた」とみる。

コンソーシアムとインバウンドは「漢字を用いた語の意味しか分からない」と回答した割合が高く、それぞれ5割を超えた。

官公庁の文書などで漢字とカタカナのどちらを使う方がいいかを尋ねた質問では、漢字を選んだ割合がコンソーシアムで約8割、インバウンドも約7割に上った。文化庁は「カタカナ語が普及する可能性もあり、今後見極めていく」と話している。