接客に福祉の視点 高齢・障害者の対応強化 ホンダカーズ宮城

 ホンダ系ディーラーのホンダカーズ宮城中央(仙台市)は、高齢者や障害者に優しい店舗づくりを進めている。介助に関する専門家の養成を始め、宮城県内の全20店で計約60人の社員が資格を取得した。車いす対応の試乗車を集約した仙台市宮城野区の高砂店にも資格取得者が誕生し、ホンダが8月に全国でスタートさせたバリアフリー対応の「マスター店」に認定された。
 高砂店の朝礼は黒沢克彦工場長(41)の手話の紹介で始まる。「『いらっしゃいませ』など簡単な内容が中心」と言う。
 店には黒沢工場長ら3人の「介助専門士」がいる。NPO法人日本介助専門員推進協会(三重県)の認定制度で、車いす介助や点字などに関する講習を受けて取得した。
 「頻繁には使わないが、専門知識や技術が役に立つ時がある」と有資格者の阿部義典店長代理(52)。障害を抱える来店客には「邪魔にならないようにお手伝いさせていただいている」と語る。
 ホンダカーズ宮城中央は2008年、店舗面積が広い高砂店を福祉車両の販売拠点とし、試乗車6車種を集約した。対応を強化するため、ことし1月に始めたのが介護に関する講習会で、対象を店長ら幹部、工場長、女性従業員に分けて3回開いた。
 資格取得は接客向上につながっている。高砂店の奥村祐子さん(30)は「車いすの方はそのままか、いすに移りたいのか、質問しなければ分からない。ちゅうちょせず話し掛けることを心掛けるようになった」と話す。
 ホンダのマスター店は02年に始めた「オレンジディーラー」制度の強化策。従来の施設面のバリアフリー化だけでなく、介助専門士か、NPO法人日本ケアフィットサービス協会(東京)認定の「サービス介助士」が2人以上いることを条件にした。東北では高砂店とホンダカーズ山形下条店(山形市)の2店を認定した。
 マスター店について、ホンダ福祉事業室は「高齢化社会の販売現場には専門知識を持った人材が不可欠。宮城の取り組みを全国に広げるために行き着いた制度」と説明している。

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Posted by takahashi