仙台市「杜の都」ブランド強化 新年度、街路樹の管理・利活用へ新方針

杜の都を象徴する緑豊かな街路樹を適正に管理し、まちづくりに生かすため、仙台市は新年度、街路樹マネジメント方針を策定する。理想的な樹木の大きさ、植え替える際の樹種など管理方針を路線や地域ごとに定め、質の高い街路樹空間を形成。代表的な青葉区の定禅寺通や青葉通だけでなく、市全域で街路樹の利活用を図り、都市ブランドの向上につなげる。
 市は3月までに基本方針と施策の方向性を固める。杜の都の環境をつくる審議会の意見も踏まえ、マネジメント方針案を5月ごろに公表。パブリックコメント(意見公募)を経て、9月ごろの策定を目指す。
 市内の街路樹は1891年、南町通に桜と柳が植えられたのが最初とされる。戦災で焼失したが、戦後に定禅寺通と青葉通にケヤキが植栽された。
 市全域で街路樹を増やし、公園と共に杜の都のイメージを形成してきた。昨年4月時点の街路樹は、高さ3メートル以上の高木が約4万9800本、3メートル未満の中低木が約256万5000本。道路1キロ当たりの本数は中低木が政令市トップ、高木が6位の多さを誇る。
 ただ、戦後73年が過ぎて街路樹が大きく成長。太くなった根が歩道の舗装を持ち上げる「根上がり」や倒木が目立つようになった。過密な植栽など現行基準に合わない場所もあり、ブランドの低下が懸念される。
 今後、枝切りや樹種の転換が増えるとみられるが、2010年策定の市街路樹マニュアルは枯れ木の処理方法など技術的な内容にとどまるため、マネジメント方針で路線や地域ごとのビジョンを明確にする。
 一方、街路樹の利活用は定禅寺通を中心に、9月の定禅寺ストリートジャズフェスティバル、12月のSENDAI光のページェントなど、全国に知られた取り組みが既に定着している。
 市内には愛宕上杉通(青葉区)のイチョウ並木、卸町大通(若林区)のケヤキ並木など、市民の評価の高い街路樹が多数ある。これらを生かしたイベント開催、火災の延焼防止や雨水流出を抑制する「みどりのネットワーク」形成など、街路樹空間の多様な利活用策を方針に盛り込む。
 市百年の杜推進課の担当者は「緑を守るだけでなく、緑を再生し、活用する考え方を打ち出したい。身近にある街路樹の価値を市民に再認識してもらい、杜の都ブランドを確かなものにできればいい」と話す。