東北の景気浮揚、実は秋田県が鍵だった 七十七R&C、6県の連動性数値化し分析

七十七リサーチ&コンサルティング(仙台市)は東北各県の景気が他5県に与える影響を数値化した調査をまとめた。他県への波及効果が大きいのは秋田、岩手両県で、東北全体の景気を浮揚させるには両県経済の活性化が欠かせないという分析が導かれた。同社の大川口信一研究顧問は「各県の景気連動性の経路を把握することで、経済政策の立案に生かせるのではないか」と指摘する。

 各国で株価連動性の分析などに用いられている統計学的手法で景気連動性を分析した。県ごとの数値は表の通り。
 他県への影響が最も大きいのは秋田で、山形の景気変動の47%を左右する。福島の31%、岩手の30%、宮城の18%、青森の11%も影響下にある。
 続く岩手も秋田から受ける影響は大きいものの、福島の景気変動の19%、宮城の18%を左右する。
 大川口氏は「両県の産業構造は秋田が電気機械や飲食料品、岩手は農業や飲食料品が占めるウエートが大きい。秋田には電子部品大手TDK(東京)の工場があるなど、大規模工場での生産拡大が他県での部品や原材料の生産を誘発する面があるのではないか」と推察する。
 一方、宮城、山形、福島は他県の景気に左右される部分が大きく、逆に他県に与える影響は少ない。福島の計55%、山形の計54%は他県の影響下にある。
 宮城が他県の影響を受けやすいのは仙台の「支店経済」が一因とみられる。仙台の支店が統括する他県の事業所の業況に支店も左右されるためだ。
 宮城から他県への影響度はいずれも3%以下にとどまった。大川口氏は「よく仙台が東北の経済を先導すると言われるが、実態は仙台の景気が良くなっても東北全体への波及効果はあまりないのかもしれない」と話す。
 青森は東北他県の影響をさほど受けず、他県への波及もない。青森の景気変動の83%は青森独自の要因で決まり、他県への影響度はいずれも3%以下だった。
 調査の指標には、東北各県が作っている景気動向指数(CI)のうち2004年1月~18年6月のデータを使った。