消費税で儲ける不法業者の手口とは?10%に増税すればさらに儲かる

犯罪組織のなかには消費税増税を待ちわびている者たちがいる。

 それが外国人旅行者向け「消費税免税制度」を悪用して国庫をむしばむ連中だ。同制度は外国人旅行者など日本の非居住者が許可を受けた免税店で5000円以上の商品を購入した場合、それらを国外に持ち出すことを前提に消費税が免除されるというもの。

 例えば100万円の腕時計を日本人が買おうと思うと消費税込みで108万円だ。ところが日本非居住の外国人のパスポートがあれば、消費税免税制度を利用して100万円で購入できる。この制度を悪用し、不法に消費税還付を受ける手口が密かに横行している。

 そのスキームは免税店としての許可さえあれば、外国人旅行者の名義も実際の商品も必要ない。架空の外国人が、高級品を免税購入したことにしてしまうのだ。日本の入国スタンプが押された外国人のパスポートを偽造すれば、そのコピーと自分で書いた免税物品購入記録票を税務署に提出し、販売した商品の仕入れ時に消費税をこれだけ払った、と虚偽申告すれば、その消費税が還付されるのだ。

 欧州など諸外国は出国時に免税購入した商品を税関に見せた後、免税分が還付されるのが一般的だが、日本の消費税免税制度では、出国時に「免税物品購入記録票」を提出するだけで、物品の確認はしない。そのため、免税制度を悪用した代理購入も露見しにくい。

 同様のスキームが明るみになった例もある。東京国税局は昨年7月、腕時計を外国人に免税手続きをして販売したように装い、不正に消費税約1億円の還付を受けようとしたとして、東京・港区の時計店運営会社と経営者の男を消費税法違反容疑で東京地検に告発している。同社は昨年8~11月、1個100万円前後の高級腕時計を多数の中国人観光客らに販売したように帳簿を作成。仕入れ時に負担したとする消費税約1億300万円の還付を申告していたという。

 消費税が10%に増税されれば、こうした不法業者を利するこ