これは「静かなる有事」だ…2045年のヤバ過ぎる日本の未来 東京は3人に1人が高齢者に

令和の日本は、これまで世界が経験したことのない極めて深刻な人口減少・少子高齢化に見舞われる。日本全体で人口が2000万人減ったその時、思いもかけないニッポンの姿が浮かび上がる。発売中の『週刊現代』では、その変わりゆく姿について特集している。

人口増の東京も老人ばかりに

歴史を辿れば、日本は過去、3度の人口減少・停滞期に見舞われている。1度目は縄文時代後期、2度目は平安時代後期、3度目は江戸中期。いま、令和の日本が直面しているのは、4度目の人口減少期だ。

ただし、過去の人口減少と今回のそれには大きな違いがある。これまでの人口減少が気候変動による「一時的なもの」だったのに対して、今回のそれは、日本が消滅しかねないレベルの急速かつ「終わりの見えない減少」ということだ―。

〈人口自然減 初の40万人超え〉
〈’18年に生まれた子供の数は91万人で過去最少〉

6月7日、厚生労働省が発表した’18年の人口動態統計には、少子高齢化と人口減少が深刻なレベルで進行していることを示す数字が並んだ。

「想定されていたこととはいえ、最悪のコースをたどっています。政府はこれまで少子化対策や地方創生という名目で数兆円を使ってきましたが、成果が上がらなかったと認めるべきでしょう」

こう話すのは公益財団法人・日本国際交流センター執行理事で『限界国家』などの著書がある毛受敏浩氏だ。

「いま日本で起こっている人口減少の深刻さは、砂時計に例えるとわかりやすい。地方で人口が減り始めて、大変なことが起こっていると認識している反面、『まだ大丈夫だろう』と安心している。

しかし、砂時計は、最後のほうになるとあっという間に砂が流れ落ちてしまいます。このまま人口減少が進めば、まるで砂時計のように一挙に地方都市が消滅しかねないのです」

日本で進行する人口減少・少子高齢化を「静かなる有事」と名付け、『未来の年表』シリーズなどを通じて警鐘を鳴らしているのは、ジャーナリストの河合雅司氏だ。河合氏もまた、日本人は人口減少にもっと危機感を抱くべきだ、と指摘する。

「日本が少子高齢化・人口減少社会に突入したことは、誰もが知る『常識』になりました。しかし自分の住む地域や、近隣の大都市がどのように変貌するのかをわかっている人は少ないはず。

そこで、’45年の日本の現実を、地図にして示しました。それが『未来の地図帳』です」

『未来の地図帳』を開きながら、日本の哀しき未来図を見ていこう。

3人に1人が65歳以上

現在のペースで人口減少が進むと、’45年の日本の人口は、1億人程度にまで縮むと予測されている。30年近くで約2000万人以上の日本人が消えてしまうわけだ。

主要な都道府県別で減少幅を見ていくと、

北海道538万人→400万人(138万人減)
宮城233万人→180万人(53万人減)
千葉622万人→546万人(76万人減)
神奈川912万人→831万人(81万人減)
静岡370万人→294万人(76万人減)
愛知748万人→689万人(59万人減)
京都261万人→213万人(48万人減)
兵庫553万人→453万人(100万人減)
広島284万人→242万人(42万人減)
福岡510万人→455万人(55万人減)
鹿児島164万人→120万人(44万人減)

と、軒並み数十万人単位で人口減少が進む。

そんななか、唯一「人口が増える」と予測されるのが、首都・東京だ。’45年には現在の約1351万人から、1360万人に人口が微増するとみられている。

ただし、人口が減らないからといって、その未来は決して明るくない。河合氏が解説する。

「全国で人口減少が進む中で、東京には仕事と都会的な生活を求めて、全国各地から若者たちが吸い寄せられるように集まってくるでしょう。しかし、二つの要因から、それを上回るスピードで高齢化が進むのです。

一つは、現在東京に住む団塊世代の高齢化が急速に進むため。たとえば練馬区と足立区では、’25年に65歳以上の区内の人口割合が25%を、75歳以上の割合が15%を超えます。

もうひとつは、地方で一人暮らしを続けてきた高齢者が、東京圏に住む子供や孫を頼って大幅に移住してきます。元気なうちに、子供たちのいるところに引っ越そうと東京に集まってくるのです。

この二つの理由から、東京の65歳以上の人口は今後増え続け、都内の高齢者人口は’15年の約300万人から、’40年には約400万人に膨らみます。つまり、都民の約3人に1人が65歳以上の高齢者になるのです」

税負担は1・67倍に

高齢者急増都市・東京では、一体何が起こるのか。明治大学政治経済学部の加藤久和教授が言う。

「いまの東京も多摩ニュータウンなどを中心に高齢化が進んでいますが、東京全体が『多摩ニュータウン化』していくことになります。具体的な問題として、医療と介護施設が圧倒的に不足することになるでしょう」

若者中心の街づくりで発展してきた東京には、高齢者を受け入れる医療機関や介護施設が少なく、’17年時点でも人口10万人当たりの病院の数、介護施設の数が全国平均を下回っている(前者は全国平均が6・56に対して東京は4・75。後者は全国平均13・22に対して東京は10・92)。

病院も介護施設も1年や2年で急増するものではない。そんななかで高齢者が急増すれば―。厚労省の試算では、’25年度時点で東京の介護職員の数が3万5000人不足することになるという。

また「高齢化が一気に進む東京では、働き手の住民税負担が重くなる」と指摘するのは、政策研究大学院大学の松谷明彦名誉教授だ。

「高齢者を支えるための十分な福祉政策を各自治体が維持しようとすれば、増税するしかありません。’15年に東京で働いている人の税負担を1とした場合、いまの行政サービスの水準を維持するために必要な負担率は、’45年に1・67にまで膨らみます。島根県では1・36なので、東京のほうが島根などの地方よりも税負担は大きくなるのです」

持病に苦しみながらも病院で診てもらうことができない親と、それを介護しながら、重い税金に苦しむ人であふれる街。それが日本の首都の未来なのだ。

発売中の『週刊現代』ではこのほかにも、「日本人がどんどん減って大阪が外国人だらけになる」「横浜から若い男だけが消えていく」「もう二度と子どもが生まれない村の出現」など、ニッポンの未来について大特集している。

「週刊現代」2019年6月22・29日合併号より