東北の宿に客戻らず 震災前の8割弱 12年度上半期

東北6県の2012年度上半期の観光による宿泊者数が、東日本大震災前の8割弱にとどまったことが28日、観光庁の調べで分かった。その後もツアー客などの戻りは鈍く、全国が震災前の水準近くまで回復する中、東北の不振が目立つ。
 東京電力福島第1原発事故の風評被害が解消されていないほか、被災地の宿泊施設不足も要因。飲食や物販など幅広い業種に影響する観光の低迷は震災復興の遅れにつながりかねず、てこ入れが必要だ。
 観光庁の12年4~9月の宿泊旅行統計調査によると、観光目的の宿泊者が半数以上を占める東北6県のホテルや旅館の延べ宿泊者数(速報)は、震災前の10年同期比23.0%減の897万7千人。11年同期と比べても11.0%減った。
 一方全国は、震災後の自粛ムードで一時落ち込んだが、12年4~9月は10年同期比4.2%減まで持ち直した。
 県別では秋田が10年4~9月比50.8%減、山形が16.6%減、青森は11.6%と、岩手(4.9%減)、宮城(17.5%減)、福島(27.8%減)の被災3県以外も深刻な状況。
 韓国や中国を中心に外国人旅行者も12年4~9月は3万9千人で、10年同期比74.9%減と落ち込んだままだ。
 12年度下半期に入っても、旅行最大手JTBの東北6県へのツアー客数が10~12月は前年同期比で5%増えたが、10年同期比では依然15%減。日本旅行も10~20%減と低迷している。
 日本政策投資銀行東北支店の大橋裕二企画調査課長は「魅力的な観光コースの開発や、防災ツアーによる被災地への見学者誘致など、東北全体で連携を図る必要がある」と話している。

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Posted by takahashi