ルツェルンと連携 希望を奏で、世界へ 松島で今秋音楽祭

 ヨーロッパ屈指のルツェルン音楽祭(スイス)と連携した世界的な音楽イベントが今秋、宮城県松島町で開かれることが決まった。日本とスイスの経済人らが計画を推進し、両国政府も後援する。作曲家の坂本龍一さんら国内外の著名音楽家が多数参加する予定で、国際観光地として名高い日本三景・松島から、東日本大震災からの復興を世界にアピールする。
 音楽祭は「Lucerne Festival ARK NOVA in 松島」(仮称)で、9月27日から10月14日までの18日間にわたって開かれる予定。松島町や音楽事務所「カジモト」(東京)、音楽関係団体などでつくる実行委が主催し、スイス大使館などが後援する。1月下旬にスイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で計画が紹介された。
 実行委は「大震災から2年になるが、いまだに多くの被災者がコミュニティーを引き裂かれ、仮設住宅での暮らしを強いられている。音楽祭の開催によって被災者の希望と信頼を取り戻したい」と話している。
 計画によると、日本やスイスの経済人などからの寄付、協賛金を基に開催する。期間中に開かれる演奏会には世界で活躍するオーケストラや指揮者、ソリストらが参加。子ども向けの音楽教育プログラムなど多彩な催しも展開する。仙台市で行われている市民音楽イベントとの連携も検討されている。
 メーン会場は松島湾を見渡せる町の高台を予定し、世界的建築家の磯崎新さんとインド出身の英国人彫刻家アニッシュ・カプーアさんがデザインした500席の移動式仮設コンサートホールを設置する。ホールの反射板などには震災後に伐採された瑞巌寺の杉材を活用する。
 松島町は被災3県の沿岸部で震災の影響が比較的小さく、仙台市と最大の被災地石巻市のほぼ中間に立地し、交通の便もいいことなどから開催地に選ばれた。
[ルツェルン音楽祭] スイス中央部の観光都市ルツェルンで、毎年8~9月に行われるクラシック音楽祭。1938年に始まり、トスカニーニやカラヤン(いずれも故人)ら一流の指揮者、演奏家が出演してきた。音楽祭ではルツェルン祝祭管弦楽団が臨時編成される。

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Posted by takahashi