「松本人志への謝罪拒否」で吉本興業を“干された”オリラジ中田敦彦は今、何をしている?

吉本興業が揺れている。ダウンタウンの松本人志は、20日に開かれた宮迫博之と田村亮の謝罪会見を受けて、吉本興業の大崎洋会長らとの緊急会談へと“動いた”。しかしその結果は、「大崎さんが辞めるなら、俺も辞める」(21日放送フジテレビ系『ワイドナショー』より)。

 翌22日に岡本昭彦社長による記者会見が開かれたが、松本は会見後に<寝不足芸人がいっぱいやろな~でもプロ根性で乗り越えましょう。私達は生まれつきオモロイ>と騒動の収束を急くようなツイート。これには吉本芸人の友近も「ちょっと待って松本さん、と思ってしまう」「まだその気持ちにまで追いつけてない」と異論を述べている。友近と同様、松本に“追いつけ”ず、しかし友近のように意見できない芸人は多いのではないか。

 というのも、松本人志こそ岡本社長、そして大崎洋会長にも直接意見できる“吉本トップ”。松本人志に逆らい、“干された”芸人もいた。オリエンタルラジオの中田敦彦だ。

 かつて、中田敦彦は松本人志の怒りを買い、吉本の上層部から謝罪を要求されたが、それを拒否した。かつては人気芸人としてバラエティに引っ張りだこだった中田敦彦の姿を、最後にテレビで見たのはいつだっただろう?中田敦彦の“大御所”批判に吉本が謝罪を要求

 中田敦彦はなぜ、松本人志への謝罪を要求されたのか。ことの発端は2017年2月、脳科学者の茂木健一郎と松本人志が「笑い」をめぐる議論で衝突したことだった。

 茂木健一郎はTwitterで、「日本のお笑い芸人たちは、上下関係や空気を読んだ笑いに終止し、権力者に批評の目を向けた笑いは皆無。後者が支配する地上波テレビはオワコン」とテレビ業界を批判した。

 これに松本が『ワイドナショー』で「(茂木さんには)笑いのセンスがまったくないから、この人に言われても刺さらない」などと反論。茂木は、翌週の同番組にゲスト出演して謝罪した。

 すると中田敦彦は、ブログを更新して騒動に言及するかたちで参戦。<オリラジ中田、茂木健一郎の『お笑いオワコン論』支持!>と題し、<大御所の番組に出演して大御所に面白くないと言われ公開処刑をされてしまいました><大御所にセンスがないとか価値を決められてしょげ返っている様子こそが茂木さんの意見通りだったのに。茂木さんの指摘、当たってたのに>と展開。茂木のテレビ批判に賛同し、大御所=松本人志をなじったのだった。

 中田の“大御所”批判は物議を醸した。渦中の中田は、ラジオ番組『らじらー! サンデー』(NHKラジオ第1)にて、「吉本の幹部と社長に、僕は(松本に)謝れと言われている」「すごいんですよ、騒ぎ方が。会社と先輩」と状況を明かしたうえで、「僕の意志としては謝らない。僕も覚悟を持ってやってますので」と謝罪を拒否する姿勢を見せていた。

 すると中田は、翌年の春および秋の番組改変期において、長年レギュラーをつとめた『ビビット』(TBS系)と『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)からの卒業を相次いで発表することになる。以降、中田の姿はテレビから消えた。

 中田が“大御所”の松本人志を批判したことにより、吉本興業幹部が松本に“忖度”したことでテレビから干された、という可能性もゼロではないだろう。なにしろ「謝れ」と言われて「謝らなかった」のだから。



 先日の会見で、岡本社長は「タレント社員を含めて吉本興業は全員が家族、ファミリーであると考えています」と繰り返し、涙を流していた。その “ファミリー”とは、いったい誰のことを差しているのだろうか。松本人志とその周辺の人間だけが“ファミリー”なのではないだろうか。

 とはいえ、中田敦彦は現在、YouTuberとして大活躍している。運営するチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」は、登録数57万人を超える人気ぶり。フィールドを地上波テレビからネット配信に移し、さらなる活躍を続ける中田の手腕はさすがである。

 テレビが「メディアの王様」だった時代は過ぎ去った。ネットの吉本批判が加速しているように、その力の及ばない領域は海のごとく広い。