「ジーンズ」不振 大手ジーンズ量販店、店舗数が減少傾向

◇不採算店の閉鎖
 ジーンズ量販店の店舗数が減少している。若者のジーンズ離れや過去の拡大路線の反動などが背景にある。大手ジーンズ量販店は、既存店の閉鎖や商品構成を見直し業績回復を狙う。
 「Mac-House」を展開する(株)マックハウス(TSR企業コード:292077629、JASDAQ)は、ピークの2009年2月期には567店を展開していた。だが、その後は不採算店の閉鎖を進め、2019年2月期は398店まで減少した。売上高も2009年2月期の566億5000万円から、2019年2月期は280億900万円まで半減した。
 マックハウスの担当者は「従来のようなナショナルブランドのジーンズより、低価格帯を好む層も増えた。他社も低価格のプライベートブランドのジーンズに力を入れている」と業界動向を説明する。今後は「これまでのロードサイド大型店の出店を見直し、ショッピングセンターを中心に展開する。客層の裾野を拡大するため、ファミリー層も意識していく」とジーンズ以外の衣料品の底上げを示唆する。
 「Right-on」を展開する(株)ライトオン(TSR企業コード:280213751、東証1部)は、2015年8月期の516店をピークに2019年8月期第2四半期時点で492店へ減少した。2009年8月期に1006億600万円だった売上高は、2018年8月期は767億9800万円へ約23%落ち込んだ。ライトオンの担当者は、「ジーンズが売れず、他の衣料品も苦戦を強いられ不採算店を閉鎖してきた」と説明。拡大路線から舵を切り、「(当面は)新規出店を控え、ショッピングセンターをメインとした既存店の収益確保に努める」と話す。
 「JEANS MATE」を展開する(株)ジーンズメイト(TSR企業コード:710101767、東証1部)も、2012年2月期の117店から2019年3月期には76店へ減った。売上高は2012年2月期の115億3300万円から2019年3月期には85億7900万円まで減少した。ジーンズの売場面積の縮小や、ジーンズからライセンスブランド商品へラインナップを切り替えている。こうした矢継ぎ早の改革で利益は復調している。ジーンズメイトの担当者は、「地域によってはジーンズ以外の商品で売場を構成せざるを得ない」と漏らす。

◇ジーンズ以外の商品に商機
 有名人が広告塔に起用されたジーンズは、かつては憧れの対象だった。しかし、昨今はジーンズ量販店ですら、主力商品の座から追われている。商品にはライフサイクルがあり、消費者に飽きられないよう常に「新鮮さ」と改善が求められる。普遍の存在と思われてきたジーンズも栄枯盛衰からは逃れられない。もはや例外や定番など存在しない。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年8月9日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)