復興道路、来年度全線開通 未定5区間47kmにめど

国土交通省は8日、東日本大震災の被災地で国が建設している復興道路や復興支援道路計550キロが、2020年度内に全線開通する見通しになったと発表した。開通時期が未定だった岩手、宮城、福島3県の5区間計47キロについて、20年度末までに完成するめどが立った。

 20年度までの「復興・創生期間」内に事業が完了する見込みとなり、石井啓一国交相は記者会見で「地域のにぎわいやなりわいの再生を力強く後押しし、意義がある」と強調。渡辺博道復興相も「大変明るいニュース。ぜひとも決められた期限の中で成し遂げてほしい」と述べた。
 政府は、三陸沿岸道(八戸市-仙台市、359キロ)を復興道路、沿岸と内陸を結ぶ3路線計191キロを復興支援道路と位置付けている。現時点で全体の72%、397キロが開通している。
 支援道路のうち東北横断道の釜石-花巻(80キロ)は今年3月に全線開通している。
 新たに開通時期が確定した区間は次の通り。

 【復興道路】三陸沿岸道・普代村第16地割-久慈インターチェンジ(IC)(岩手、25キロ)▽田野畑村大芦-田野畑村田野畑(岩手、6キロ)▽気仙沼港IC-唐桑南IC(宮城、7キロ)
 【復興支援道路】宮古盛岡横断道・宮古市平津戸-宮古市区界(岩手、7キロ)▽相馬福島道・福島保原線IC-国道4号IC(福島、2キロ)

東日本大震災の被災地で国が整備を進める復興道路と復興支援道路(計550キロ)が2020年度内に全線開通する見通しとなった8日、青森、岩手、宮城、福島4県の首長は地域再生をけん引する道路の完成を歓迎するとともに、防災や経済振興など幅広い分野での波及効果を期待した。

 「復興完遂への大きな道筋が示された」と強調したのは市全域が津波で甚大な被害を受けた気仙沼市の菅原茂市長。「早期完成を願ってきた。関係者の尽力が実を結んだ」と喜んだ。
 三陸沿岸道の北端となる八戸市の小林真市長は「多くの人の願いが実現される見通しとなったことは感慨無量だ」とし「人的、物的交流圏の拡大を、三陸沿岸の地方創生につなげたい」と意気込んだ。
 防災面での効果を期待する声も上がった。宮古市の山本正徳市長は「津波浸水区域を回避できる道路だ。災害時の輸送網としての効果も大きい」と歓迎。青森県の三村申吾知事は「緊急時のネットワークや地域間連携の強化などが望める」と期待を寄せた。
 東北沿岸を貫く道路網の整備に伴い、観光の広域化や物流の効率化が見込まれる。岩手県の達増拓也知事は「効果を最大限に活用し、産業振興に努めたい」とコメント。相馬市の立谷秀清市長は「交流人口の拡大につなげられるよう努力を重ねる」と誓った。
 東京電力福島第1原発事故の被害が残る福島県の内堀雅雄知事は「震災、原発事故からの復興と地域活性化への大きな弾みになる」との談話を出した。宮城県の村井嘉浩知事は「全線開通は産業をはじめ東北沿岸全体の振興に大きく寄