二口林道が開通 秋保と山寺 結ぶ架け橋 交流拡大に期待

仙台市太白区秋保町と山形市山寺を結ぶ林道「二口線」(二口林道、約19キロ)の全線舗装化が完了し、9日開通した。未舗装だった宮城県側の舗装工事が終わり、紅葉シーズンの数週間に限られていた県境越えが、冬季を除き可能になった。開通を待ちわびた関係者は「仙山交流」の拡大や観光振興を期待した。

 二口林道は宮城側の約10キロと山形側の約9キロから成り、道幅は約3.6~7.0メートル。未舗装の林道として1973年に完成したが、路面やのり面の崩落が相次ぎ、77年から断続的に改良工事が続けられてきた。
 山形側の舗装は97年に完了。宮城側の舗装事業は2016年に着手し、今月初旬に完成した。事業費は約3億3000万円。全線が舗装路となり、積雪期を除いた時期の通行が可能になった。
 車での所要時間は片道約1時間。林道の途中には岩壁が連なる国指定名勝「磐司(ばんじ)」や白糸の滝などの景勝地が点在し、宮城県は年間の交流人口を4万~5万人と見込む。
 宮城側の起点となる仙台市秋保ビジターセンターで同日式典があり、約100人が開通を祝った。村井嘉浩知事は「両県を結ぶ天空の架け橋だ。秋保温泉や山寺といった重要観光拠点を核にし、地域の活性化につなげたい」と述べた。
 一般車両の通行が可能になった午後1時には、車が続々と山形側に向かった。林道入り口近くに住む会社員佐藤幸代(ゆきひろ)さん(65)は「これまでゲート手前で引き返していた観光客の姿を思い返すと、開通は本当に感慨深い。仙山交流に弾みをつけるきっかけになってほしい」と願った。