個人的に気になること

色々なものが雑多にファイリングされています。

男と女、どっちが優秀? 脳科学の第一人者に聞いた男性脳と女性脳のウソ・ホント

calendar

男性は物事を論理的に考え、女性は感情的に行動する――。そのように思われている脳の男女差は真実なのだろうか。脳科学者の篠原菊紀さんに、男女の脳の構造の違いや考え方、行動に差異が出るメカニズムを聞いた─。

スポンサーリンク

男性と女性による脳の構造的な違いは存在する?

男女の体格に差があるように、脳にも物理的な違いがあります。脳の重量は一般的な男性が1350〜1500gなのに対し、女性は1200〜1250g。ただし、サイズや重さの違いが何らかの差を生みだすとは考えられていません。

以前、「女性の脳では左右の脳をつなぐ脳梁が太い(だから女性のほうがマルチタスクに向く)」「女性は前頭葉、側頭葉などの灰白質が厚い(だから言語系能力に優れる)。男性は頭頂葉が厚い(だから空間認知力に優れる)」「記憶に関係する海馬は幼児期では男性が大きいが(だから好きなものに異常に詳しくなりやすい)、思春期以降では女性のほうが大きくなる(だから女性のほうが細かく覚えている)」

「好き嫌いの判断や、意思決定にかかわる扁桃体は、男性のほうが大きい(だから判断が早い)」など、男女の脳に構造的な差があるとする報告がいくつかあり、(  )内に示すような推測がつきがちでした。しかし、そうした脳の性差はその後の研究で明確に示されてはいません。

男女の脳では何が大きく異なる?

脳の構造的な性差については、明確には示されていませんが、脳の部位間の機能的な結びつきや接続の強さに違いがあることはよく報告されています。例えば、ペンシルバニア大学の研究グループは、8〜22歳の949人を対象に脳の接続について調べました。その研究成果のひとつが、下のイラストです。

頭頂部から見た大脳。ペンシルバニア大学の研究グループは、脳内部の神経線維の走行を可視化。男性・女性で神経接続の仕方に大きな違いが見られた。©Ragini Vermaet al, University of Pennsylvania, PNAS 2013

女性の脳は、左脳と右脳の結びつきが強いのが特徴。一方、男性の脳は左脳と右脳の結びつきが弱く、その分、それぞれの半球内での接続が強いのが特色です。

こういうデータが出てくると、「だから、女性はマルチタスク型、男性はひとつの物事にのめりこみやすい」などと単純に解釈しがちですが、この接続の差がそうしたタスク処理の仕方と関係があるといった証拠はまだありません。他にも、男女の行動特性の差は数多く報告されていますが、それと脳の機能的接続との関連は明らかになっていないというのが現状といえるでしょう。

ストレスへの耐性・反応に男女で違いはある?

短期型のストレスに強いのは男性、長期型のストレスに強いのは女性だといわれています。例えば、大きな災害に見舞われた時。男性は即座に現場に駆けつけ、人命救助や土砂の撤去にあたるなど、力を発揮します。

ただし、そうした活動が長期におよぶにつれて、男性は心理的にまいってくる。結果が出ないことに弱気になり、「もう、ダメかもしれない」といった気持ちがこみ上げてきます。

逆に女性は、長期型のストレスに耐性がある。長引く支援作業を、コツコツと継続していくことができます。

また、ストレスへの対応にも男女で違いが見られます。男性はひとりでもできる趣味に没頭したりしてストレスを解消する傾向があるのに対し、女性は会話などのコミュニケーションで発散をします。ただし、ストレスが一概に悪いとはいえません。

ストレスを受けた状態のほうが、力が発揮できるという研究報告もあります。男性も女性も、ストレスと上手に付き合っていくことが重要だといえます。

男性と女性、結局どちらが優秀?

女性は言葉の流暢性に優れています。例えば、「”か”で始まる単語をできるだけ挙げなさい」という課題を与えると、女性のほうが、成績がいい傾向にある。ですから、口ゲンカになると女性は強いですよね(笑)。

一方、男性はメンタルローテーション課題に強さを発揮する場合が少なくない。これは、ある図形をぐるっと回すとどんな形になるか、頭のなかで判断するといったもの。女性よりも男性の成績がよい傾向にあります。

男女にはそれぞれ得意分野があるわけですが、教育環境の改善によって、言葉の流暢性の差は広がり、メンタルローテーション課題の成績差は縮んでいるとの報告もあります。

また個人的に、現代では女性のほうが力を発揮しやすいのではないかと思います。今はワンマンなリーダーが引っ張っていくというよりは、どれだけ人から共感を集め、周りを巻きこんでいけるかが問われている。

そんな”共感力”は女性の特徴でもあります。最近、女性経営者の活躍が目立つのも必然かもしれません。

Kikunori Shinohara
1960年生まれ。公立諏訪東京理科大学教授。「学習」「運動」「遊び」をはじめ、日常での脳活動を研究。メディア出演のほか、著書も多数。近著に『マンガでわかる 脳と心の科学』(池田書店)。