「マスクするしか…」 国内感染、観光地の戸惑いと対策

 中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎に、奈良県に住むバス運転手の男性(60代)が感染していたことを受け、同県は29日午前、知事をトップとする対策会議を開いた。国内で日本人の感染が初めて確認されたことに関西の観光地では驚きが広がり、対策を強める動きも出ている。

【写真】マスク姿で参拝者に応対する春日大社の巫女(みこ)=2020年1月29日午前、奈良市春日野町の春日大社、白井伸洋撮影

 奈良市の奈良公園。29日午前、長女と一緒に訪れていた浜松市の萩原協子さん(48)は「ちょうど奈良にきているので不安になった」と話した。宿泊した奈良市内のホテルに入った際には、普段は使うことのない消毒液で手を消毒したという。

 興福寺(同市)は例年、この時期、インフルエンザ対策として、拝観受付や駐車場などで働く職員にマスクを配っている。今年は万が一、職員らが新型肺炎に感染した場合に備えてマニュアル作りを進めている。国宝館や駐車場を何日間、閉鎖すべきかなど、対策を考えているという。僧侶の辻明俊(みょうしゅん)さんは「過度の心配は禁物だけど、用心にこしたことはない」と話す。

 京都市中京区の二条城。入城券売り場には、中国・武漢市に滞在歴があり、発熱などの症状がある人に対し、マスクの着用などを促す貼り紙が日英中の3カ国語で貼り出された。二条城事務所の鳥居将志総務課長(45)は「多くの観光客に来ていただいているので心配だ」と話す。

 京都・祇園の八坂神社では、社務所などに消毒用アルコールを追加で設置、職員のマスク着用を徹底している。神社の橋本正明総務部長(61)は「マスクで感染を防ぐしかない。とにかく一日も早く終息するのを祈るだけ」と話した。