沖縄のケンタッキー「ご飯と生ビールの提供も検討」 社長が語った沖縄の戦略

ケンタッキーフライドチキンの主力商品「オリジナルチキン」の消費量が県民1人当たり全国一の沖縄県。クリスマスだけでなく、正月、入学祝いにも欠かせません。白米と一緒に食べるという独自の文化も生まれています。日本ケンタッキーフライドチキンの近藤正樹社長は、このような沖縄の現状や今後の戦略についてどう考えているのでしょうか。(デジタル部・與那覇里子)

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日本ケンタッキーフライドチキンの近藤正樹社長=1月、チャタンハーバーブルワリー&レストラン ゲートボール大会にも協賛

ー2014年に社長に就任してから6年、沖縄県民のチキン愛をどう捉えていますか。
 
 「昨年、首里城が炎上して心を痛めていました。働いている方の激励とお客様への感謝も込めて、昨年のクリスマスの24,25日は沖縄県内の12店舗を回ったんですね。たくさんの予約をいただいて、その上、その日に買いに来てくれた方をはじめ、ドライブスルーでも行列ができていた。誕生日、入学祝いでもケンタッキー。『のし』があるのもほぼ沖縄だけで、売上げもオリジナルチキンも人口比では一番の県。沖縄は、ケンタッキーを日常に取り入れてくれています」

ゲートボール優勝チームに配られるバーレル(提供:KFC)

ー日本にケンタッキーが上陸して今年で50年を迎えますね。周年で考えている仕掛けはありますか。

 「今年は東京オリンピックがあるので、インバウンドの対応にキャッシュレス決済を強化します。ただ、ケンタッキーの店舗があることにそもそも気付いてもらわないといけません。そのために、インバウンドの方がよく閲覧、検索するグルメサイトや観光サイトなどでPRしていきたいと考えています。海外旅行中に知っているお店を見つけると安心しますよね。国産のフレッシュなチキン、世界的ブランドの安心感、和食より安心できる食事、日本だけの限定メニュー『和風チキンカツサンド』をアピールしていきます」

ー沖縄だけの仕掛けも考えていますか。

 「沖縄は車社会。店舗にも車で来てくれる方が多いので、テレビCMはもちろんですが、ラジオCMをもっと活用していきたいですね。他県とは違う戦略です。沖縄では年末の納会などでもケンタッキーのケータリングを活用してくれているので、こちらも継続してアピールしていきます。ゲートボール大会の協賛も始めています。沖縄の高齢者の方もケンタッキーのチキンを喜んでくれています」

営業利益5倍に ライバルはスタバ?

ー2019年4~9月までの連結決算で、営業利益が前年同期に比べて約5倍の24億6600万円に上りました。業績はV字回復しています。要因は?

 「夏に500円ランチを始めたんですね。ケンタッキーは大人数でクリスマスに食べるというイメージがあって、普段使いをするには、敷居が高かったかもしれません。若者をはじめ、女性も多く利用してくれるようになりました。分かりやすい値段設定にしたのも良かったと思います」

ーランチなのに、時間も午前10時から16時までと長めに設定されています。なぜですか。

 「朝食を食べていない人もいれば、遅めの時間にランチを食べる人もいます。その人たちも取り込みたかったのと、午後2時から4時のケンタッキーの店舗にはほぼ人が居なかったんですよ。その時間は、コーヒーやデザートが求められるので、正直スターバックスにお客様は流れて負けてしまう。だからこそ、ニーズがあると思いました」3回変えたコーヒーの味

ー社長に就任して、こだわってきたことはありますか。

 「一番大事にしているのは、オリジナルチキンです。ケンタッキーの看板です。オリジナルチキン以外は、似たような商品が他社でも提供されてますけど、オリジナルチキンは独自の商品で、あの味はまねできない。守っていきます」
 
 「オリジナルチキンをもっと食べてもらうために、社長になってからはコーヒーの味を3回変えました。油と味がぶつからないように工夫しています。コールスローもビスケットもドリンクも全てオリジナルチキンに合うように計算されています」

ークラッシャーズなどデザートもありますが、それもチキンに合わせているんでしょうか

 「デザートはこれから大きく変えていきます。以前提供していたアップルパイもエッグタルトも改良して、再び販売することも考えています」

ーいつも、ビスケットを食べるタイミングが分からなくて困っているのですが、どのタイミングで食べるのが一番おいしいと考えていますか。

 「チキンを食べ終わった後ですね。ビスケットもカーネルサンダースが作ったもので、チキンの油を流してくれます」

ー沖縄の店舗で白いご飯を提供することは検討されませんか。

 「東南アジアの店舗では白いご飯は提供されています。以前、日本では焼きおにぎりは提供していたんですが、今はありません。提供するには、沖縄の店舗内で炊いたほうがいいのか、どの形がいいのか突き詰める必要がありますね。検討します」

 「生ビールの提供は期間限定で考えているところです。チキンにビールは合うと思うんですよね。沖縄で出せたらいいなと思っています。ポイントは缶ビールではなくて、やっぱり生ビールというところにワクワク感がありますよね」

 「沖縄はアジアの中でもリゾート地であり、ビジネスの拠点にもなる。魅力が多い。沖縄から新たなチャレンジを仕掛けて、沖縄のいい事例を他県にも持って行きたいと思っています」