イタリア周辺国にも感染拡大=死者11人、国境は封鎖せず

【パリ時事】イタリア市民保護局は25日、新型コロナウイルスによる死者が計11人となり、感染者は死者を含めて322人になったと明らかにした。ANSA通信が報じた。報道によると、ドイツやスイス、ルーマニアでも同日、国内初の感染が1件ずつ確認され、欧州での感染が広まりつつある。

 ローマでは25日、フランスやスロベニアなど伊周辺国の閣僚会合が行われ、現時点ではイタリアとの国境封鎖は実施しない方針を決定した。スペランツァ伊保健相は25日、会合後の記者会見で、国民に出国規制を設けないと明らかにした。その上で、感染防止対策は「どの国も単独では行動できず、協力しなければならない」と訴えた。

 AFP通信によると、ドイツの患者は伊北部ミラノで感染した疑いが強いという。今月中旬に中国人旅行者1人が死亡したフランスでは25日、新たな感染者2人、スペインでも新たに1人がそれぞれ確認された。

 仏環境省高官は地元ラジオに出演し、感染者数が多い伊北部への旅行を予定している国民に対し「可能なら延期を勧める」と述べた。

 伊政府は、北部ロンバルディア州を中心に複数の自治体を封鎖して感染防止に努めたものの、25日には中部トスカーナ州や南部シチリア州でも感染が確認された。