IOC 東京五輪「予定通り」に世界から反発 強硬姿勢に「不平等」「無神経で無責任」

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、開幕まで5カ月を切った東京五輪の開催が不透明な状況となる中、18日現在も「予定通り」の開催を主張し続ける国際オリンピック委員会(IOC)、東京五輪・パラリンピック組織委員会、日本政府に反発する声があがり始めた。各世論調査でも7割近くが予定通りの開催はできず、延期か中止という見方が広がっている中、“開催強行”の姿勢への疑問が噴出している。

 注目された17日のIOCと国際競技連盟(IF)の協議は波乱もなく、東京五輪を予定通り開催する方針で一致した。その後、IOCは「大会まで4カ月以上あるこの時期に、重要な決断をくだす必要はない。いかなる推測も逆効果だ」と、公式声明を発表。関係者によると不自然なほど、延期や中止の議論は出なかったという。

 世界保健機関(WHO)が「パンデミック(世界的大流行)」を宣言した11日以降も、IOC、組織委、日本政府は通常開催を主張し続けている。ただ、先行きが不透明な中での“強行”姿勢に、反発の声が大きくなり始めた。

 2014年ソチ冬季五輪のアイスホッケー女子でカナダの4連覇に貢献し、IOC委員を務めるへーリー・ウィッケンハイザー氏は、東京五輪を予定通り開催することは「無神経で無責任な行為。この危機は五輪よりも深刻だ」と自身のツイッターで非難した。また、スペインオリンピック委員会のアレハンドロ・ブランコ会長が、欧州では選手が練習もできない状況に追い込まれていることに「最も重要なことは選手たちが練習することができず、不平等な状況にあることだ。このままでは選手を公平に開催地に送ることができない」と延期を希望した。

 選手からも不満が出始めている。16年リオ五輪の陸上女子棒高跳び金メダリストのエカテリニ・ステファニディ(ギリシャ)は「IOCは練習を続けさせることで私たちや家族の健康、公衆衛生を危険にさらしたいの?」と自身のツイッターで怒りを表明。また、陸上男子800メートルのガイ・リアマンス(英国)も「五輪の成功を望んでいるが、実現するためにはイベントを延期する必要があると強く信じている」と延期を訴えている。

 国内外の世論も厳しい見方を示しており、各世論調査では7割前後が延期、中止を予想している。海外では五輪のロゴを風刺した画像がネット上で出回っており、5つの輪が重なることなく一定の間隔で並び、「OLYMPIC GAMES TOKYO 2020」の下に「SAFETY DISTANCE(安全な距離をとろう)」と書かれている。

 サッカーの欧州選手権やテニスの全仏オープンなどメジャー競技の主要大会が相次いで通常開催を断念している中で、IOCの強硬な姿勢は異様にも映る。背景には巨額の協賛金を払うテレビ局や企業への配慮、大幅な減収への懸念がにじむ。世界的危機が浮き彫りにする祭典の闇に、大会への機運は急速に冷え込んできている。