客から暴言も…高感染リスク抱えるスーパー店員の悲痛な声

緊急事態宣言の発令以降、繁華街の人出は減ったが、スーパーは家族連れなど大勢の人であふれかえっている。それにともない、激務を強いられている従業員から悲鳴が上がっている。

 食品スーパーは客が多く、ただでさえ新型コロナの感染リスクが高い。アメリカではスーパー内での感染リスクが大きな社会問題となり、ロサンゼルス市では、従業員も客もマスク着用が義務づけられている。日本でも、すでに全国20店舗以上のスーパーで従業員の感染が確認されている。働く人は感染リスクを気にしながら仕事をこなしている状況だ。

 そのうえ、ストレスをためている人が増えているのか、客から罵声を浴びせられるケースまであるという。

「儲かってボーナスもらったんだろう」「そのマスクどうしたんだ。どうせ優先的に買ってるんだろう」「これだけ客が来てるんだから、コロナに感染しているのではないか」

 こんな難癖や言いがかりをつけられ、なかには暴力を振るわれた店員もいるという。

「『レジ前に飛沫防止のビニールをつけろ』と言われ、設置したところ、『顔が見えない』『声がよく聞こえない』といったクレームがきました。入場制限をすると『何で並ばないといけないんだ』と怒鳴られ、『感染リスクがあるのでお守りください』と説明しても『急いでいるんだ』といって割り込む人もいます。従業員だって感染するリスクがあり、不安な気持ちで店に立っています。『何で混んでいるんだ』と言われても『お客さんがいらっしゃるからです』とは言えないのです」(スーパー関係者)

■このままでは小売業崩壊も

 働く人も減り始めているという。休校のため子供が家にいて出勤できない主婦、帰省してしまった学生、帰国した留学生、家族に「危ないから辞めろ」と言われるケースも増えているそうだ。

 従業員の感染が確認され、休業に追い込まれた店もある。濃厚接触者が自宅待機になれば、さらに働き手が不足する。

 全国スーパーマーケット協会の広報担当者が言う。

「政府や自治体の要請で何とか営業を続けていますが、この状況が続くと、従業員ももたなくなります。どこかの店が休業すると他の店が混み、さらに従業員の負担が増えるという負の連鎖です。小売業の崩壊につながります。小売りの現場を守るためにも、混雑しないよう、理不尽なクレームは控えていただくよう、少しでもご配慮いただきたいのです」

 スーパーが閉まって、困るのは利用客だ。