「巣ごもり消費」拡大で配送需要が急増…「運転手は体力的にギリギリ」

新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、食料品や日用品の配送需要が急増している。自宅での「巣ごもり消費」が広がっているためで、トラックや配達員は不足気味だ。配達時の感染防止も課題で、各社は対応に追われている。

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■荷物急増

 22日早朝、運送会社「TAKAIDOクールフロー」(東京都杉並区)の物流センターでは、冷凍食品が詰め込まれた段ボールが次々とトラックに運び込まれた。

 1日1200~1500箱程度だった配送量は、4月以降、最大4000箱と2倍以上に増え、別の拠点などからトラック約10台を融通してもらい対応する。担当者(48)は「仕事があるのはありがたいが、運転手は体力的にギリギリのところまできている」と懸念する。

 日用品や食料品の配送需要は、政府が全国の学校への休校要請を決めた2月下旬頃から増え、外出自粛が本格化した4月以降は急伸した。通販サイト大手のアマゾンジャパンは生活必需品や衛生用品を優先的に仕入れ、他の一部商品については物流施設への入荷を制限している。

■人手不足

 飲食料品の宅配注文が急増する「出前館」(大阪市)では、営業を縮小する飲食店の従業員を一時的に配達員として活用する取り組みを始めた。通販サイトなどの荷物を扱う「デリバリーサービス」(東京都府中市)も、3~4月に荷物が3割程度増え、飲食業などから新たに10人近く採用した。

 家庭向けの荷物が急増しているのに対し、経済活動の停滞で企業向けは減っている。どちらも扱う大手のヤマト運輸や佐川急便は通常体制で対応できているが、小口運送業者らでつくるラストワンマイル協同組合(東京)によると、「中小では企業向けが9割減った業者もあり、今後、家庭分野で荷物の奪い合いが生じる可能性もある」(幹部)という。

■感染対策

 配達員が新型コロナに感染したケースもあり、感染防止は喫緊の課題だ。

 アマゾンでは3月から30都道府県の一部地域で、指定がなければ不在でも玄関先や車庫など要望の場所に荷物を置く「置き配」を実施。ヤマト運輸や佐川急便は、インターホン越しに配達員に置き場所を伝えれば、対面せずに荷物を受け取れるようにした。

 宅配代行サービス「ウーバーイーツ」でも、注文用の専用アプリに「置き配」を選択できる機能を設けた。ウーバーイーツの配達員でつくる労働組合では、配送1件に対し300円の危険手当の支払いのほか、マスクや消毒液などの配布を求める動きも出ている。