「海外がコロナ対策で日本批判」のカラクリ 日本メディアが日本をおとしめる…

新型コロナウイルス感染拡大をめぐっては、「日本の対策を海外が批判している」といった日本の報道が目につく。PCR検査数の少なさや首相のリーダーシップの欠如が問題視されているというのだが、そもそも欧米諸国は感染者数も死亡者数も日本より圧倒的に多いはずだが、どんなカラクリがあるのか。

 日本のメディアに引用されているのは、英紙ガーディアン紙の5月4日付の記事だ。

 元の記事は、日本が「第2波を懸念して緊急事態宣言を延長させた」という内容で、「PCR検査が比較的少ないことが批判されている」と客観的に書かれている。

 また英BBCや米紙ニューヨーク・タイムズといった著名メディアも日本を批判していると報じている。中には日本政府を「無能」とする厳しいものもあるのだが、コメンテーターは実は日本出身や日本在住の有識者ということが多い。日本発の批判を「海外からの批判」として紹介している例も少なくないのだ。

 作家でジャーナリストの門田隆将氏は、「日本の死者数が世界に比べて少ないと驚かれているにも関わらず、日本をおとしめたいためだけの記事だ。ネットの時代ではこういうことをしてもすぐに暴露されることをいまだに分かっていないのか」と憤慨した。

 海外メディアが日本の新型コロナ対策を批判ばかりしているのかと思いきや、BBCは「最も健康的な国家」としても日本を紹介しているが、なぜか日本の大手メディアで引用されることは多くない。

 米国の事情に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は、「米国は他国のことよりも国内のコロナ問題に精いっぱいというのが実情で、これは欧州も同様だろう。他国に関する報道では、独自の対策に成功した台湾が取り上げられることが多い。日本については特に褒められているわけではないが、批判にさらされているということもない」と指摘した。