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コロナ禍でも人気のCM好感度ランキングTOP30 DMM英会話が総合1位、大塚製薬のポカリCMも

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新型コロナウイルスの感染者が日本で初めて確認されてから、約4カ月が経過した。コロナ禍はテレビCMにもさまざまな影響を及ぼしている。

CMの出稿状況について、まずACジャパンの放送回数の変化から紹介する。1月半ばからコロナ関連のニュースが相次ぐも2月下旬まで目立った動きはなかったが、政府が全国の小中高校などへ臨時休校を要請した2月27日を境に放送回数が急増。3月は計1783回を数えた。

4月1、2日、緊急事態宣言が発令された7日、大型連休を迎えた最終週にそれぞれ1日あたり100回程度を記録するなど、4月はACジャパンのCMが計2106回放送された。5月に入ると緩やかに減少し、12日には2カ月半ぶりに20回を下回ったが、この間に業種や表現によっては出稿を控えたCMが相次いだことがわかる。

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■コロナの影響をもろに受けたカテゴリが大きく減少

各商品カテゴリの放送回数を前年比較してみると、耐久消費財カテゴリの出稿量が減るなど中国の生産ライン中断の影響が見受けられた。なかでも自動車の車種CMの減少が顕著で、2月度は直近20年で過去最少を記録。その後も減少傾向が続き5月前期(4月20日~5月4日)でも前年同期の2066回から748回と1300回ほど少なかった。

5月前期において、全カテゴリのうち最も放送回数が減少したのはイベント・映画・演劇・コンサートなどの告知CM。例年ゴールデンウィーク前後には積極出稿が見られるが、前年同期から8割減の429回にとどまった。

そのほか今期はテーマパークなどの娯楽施設や宝くじなどのCM、ショッピングモールや専門店といった流通関連のCMも1000回以上放送回数を減少させた。また外出自粛の長期化で需要が急増した冷凍食品カテゴリは4月度に前年同月度の3倍となる1277回の放送回数を記録するも、安定供給確保のためか5月前期の放送回数は前年同期の半分以下となった。

このような状況のもと実施された5月前期のCM好感度調査では、現在の社会情勢に対する人々の心情や、ライフスタイルの変化を反映する結果が見られた。

総合1位に輝いたのは、DMM.com『DMM英会話』の「オンラインレッスン・ポテト」篇。おぎやはぎの矢作兼がお笑い芸人グループ・超新塾のアイクぬわら演じる外国人講師から英語のオンラインレッスンを受ける様子をユーモラスに描いたCMだ。机に置かれたノートパソコンの画面に向かって矢作が「ポテト」「トマト」と言うと、画面に映るアイクが「potato」「tomato」と正しい発音でリピートする。

「卵」と言う矢作に続いてアイクが「タメーゴ」と英語のようなイントネーションで言い直すと、矢作は「いや、エッグだろ!何がタメーゴだよ」と冷静にツッコミを入れる。最後は悲しげにうつむくアイクに続けて「♪DMM英会話」という軽快なサウンドロゴと「オンライン英会話No.1」のテロップを映した。

■5年以上前に制作されたCMが初のナンバーワンに 

外出自粛要請が長期化する中、自宅にいながらオンラインで英会話の学習ができることを伝えたタイムリーなCMだが、本作が制作されたのはおよそ5年半前で、2014年の秋に約2カ月放送されるもその後はオンエアがなかった。

ところが今年4月11日に放送を再開すると、4月後期(4月5日~4月19日)には総合14位にランクイン。5月前期はさらにスコアを伸ばし、同社として自己最高のCM好感度を獲得して初のナンバーワンとなった。調査モニターの感想を見ると、ふたりのコミカルな掛け合いを評価する声が大半だったが、昨今のリモートワークを連想させるといったコメントも見受けられた。

続く2位には上白石萌歌が伸び伸びとCMソングを歌うキリンビバレッジ『キリンレモン』の新作がランクインした。広々とした草原を走る列車に乗った多部未華子があいみょんの弾き語りを聞きながら商品を味わうキリンビール『淡麗グリーンラベル』のCMは4位に入った。

いずれのCMもすがすがしい表現が特長で、連休中もレジャーや外出を控えた消費者の心を強く引きつけたことが想像できる。このほか任天堂のゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』のCMが6位、ACジャパン『公共広告』の「にゃんぱく宣言」篇が7位に入るなど、ランキング上位にはSTAY HOME週間の世相を感じさせる顔ぶれが並んだ。

トップ10以下では、12位につけた大塚製薬『ポカリスエット』のCMに注目したい。今年4月にCMキャラクターに起用された15歳のモデル、汐谷友希のほか97人の中高生がそれぞれ自室などで「♪今しかない この一瞬は」などと力強く歌っている自撮りの動画をつないで、“ポカリNEO合唱”を表現するという内容だ。

最後は「渇きを力に変えてゆく。」というコピーに続き、分割された画面に一人ひとりが撮った青空の映像が次々に映されていき、全員で大きな青空を完成させて締めくくった。

本作は大勢の中高生がひとつの場所に集まって合唱するという当初の企画を変更して制作されたもので、ウェブではセルフィー撮影する生徒の姿に「でも、今はみんなで集まれない。」「だけど、歌は歌える。」といったコピーを重ねたメイキング映像も公開している。

調査モニターからは生徒たちが生き生きと歌う様子が支持されたほか、人に会えない状況でもつながっていると感じたなどの感想が寄せられた。社会状況を生かしたタイムリーなプロモーションといった、制作手法そのものを評価する声もあった。CMに込められた「マイナスをプラスに変えることができる」という企業の思いが視聴者へのエールとなり、多くの共感につながったようだ。

26位に入ったネスレ日本『キットカット』のCMもメッセージ性の高い表現で多くの支持を集めた。CMは商品の紙パッケージをつなげて作った巨大なキャンバスに、香取慎吾がカラフルな大輪の花のアートと「いっしょにがんばりましょう」というメッセージを力強く描くというもの。

本作は同社が昨年9月に商品パッケージを従来のプラスチックから紙に変更したことを伝えるもので、調査モニターからは環境問題への配慮に対する賛同のほか、「いっしょにがんばりましょう」という言葉に勇気づけられる、今ならではのCMで心に響くといった声が目立った。

■これからはCMのあり方も変わっていく  

そのほかにも、視聴者が“今できること”や企業の取り組みを具体的にアピールするCMも数多く放送されている。

ジャパネットたかたは「今だから気付けること」をキーワードに、さだまさしや西川貴教らが医療関係者へのねぎらいや手の洗い方などを伝えるCMを展開。トヨタは香川照之が世界各国の同社の社員に“テレ取材”を行い、医療用フェイスシールドの生産といった同社の活動などを伝える『トヨタイムズキャンペーン』のCMを放送した。

今後、コロナ禍が収束を迎えたとしても私たちのライフスタイルや働き方、経済活動が大きく変わることは間違いない。企業のコミュニケーション活動やCMがどのように変化していくのか、引き続き検証を進めたい。

関根 心太郎:CM総合研究所 代表