東北の上場企業、業績予想未定が半数超に コロナ感染拡大の影響見通せず

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東北の上場企業の多くが今期(2021年2、3月期)の業績予想開示を見送っている。27日までに2020年2、3月期決算を発表した計24社(金融を除く)のうち、半数を超える13社が今期予想を「未定」とした。各社とも「新型コロナの影響を合理的に算定することが困難」として、可能になった時点で開示する。
 温泉施設スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)は4月上旬から日帰り・宿泊施設の臨時休館が続く。運営する常磐興産(同)は「営業を再開しても、通常の水準に回復するまでにある程度の時間がかかる可能性がある」と言う。
 密閉、密集、密接の「3密」回避を踏まえると、運営形態の見直しも迫られる。同社は「準備にも時間がかかる。業績への影響が読み切れない」と苦悩する。
 ホームセンターのサンデー(青森県八戸市)は青森県に緊急事態宣言が出る前の4月10日に決算を発表。川村暢朗社長は「(今期予想は)非公表だが、売上高500億円突破を目指したい」とする一方、「先行きが見えない。初めての経験だ」と不安を口にした。
 食品製造の日東ベスト(山形県寒河江市)も「外食や学校給食にも提供しており、新型コロナで影響を受ける」として開示を見送った。
 業績予想は出したが、産業用高圧ガス製造の東邦アセチレン(宮城県多賀城市)など、現時点では不透明な新型コロナの影響を織り込んでいない企業もある。
 和風レストラン「まるまつ」などを展開するカルラ(同県富谷市)も、影響を盛り込まずに今期の売上高を2.1%増の79億円とした。ただ、同社の売上推移速報によると3月の売上高は対前年同月比で25.5%減、4月は60.7%減と大幅に落ち込んでいる。
 電力需要への影響が不透明として、今期の業績予想開示を見送った東北電力の樋口康二郎社長は「収支への影響は広範囲にわたる」との認識を示した。
 東北の地方銀行、第二地銀(13行・グループ)は、福島銀が新型コロナの影響で不確定要素があるとして今期予想を未定とした。
 過去には11年3月の東日本大震災発生を受けて、同年6月中旬までに決算を発表した34社(金融を除く)のうち、14社が12年2、3月期の業績予想を未定とした。この時は銀行5行も公表を見送った。