個人的に気になること

色々なものが雑多にファイリングされています。

160社を実名公開、アフターコロナ「生き残る大手企業・倒れる大手企業」

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経験したことのない大変化

私たちに求められる「新しい生活様式」、そして世界的な社会構造の変化で、ほとんどの企業のビジネスモデルは瓦解する。

最終ページからの表では、経営の専門家6人に、大手160社の今後を◎(5年後も安定)、○(3年以内のリスクに対応)、△(1年は乗り切れる)の3段階で評価してもらった。

◎や○が多く付いた企業は、これからも経営は比較的安定する見込みだ。逆に言えば、△が多かったり、無印評価が多かったりする企業は、1年後や3年後には危うい可能性が高い。

社会変容によるインパクトは甚大で、トヨタのような一生安泰と思われていた企業・業種でさえ、どうなるかわからない。

Photo by gettyimages

「人が移動すること自体が減り、少なくとも今後2年間は車の売り上げは落ちると思います。長期的に見ても、需要が完全に回復する見込みは薄い。豊田章男社長は今後1年の売り上げを2割減と予想していますが、この数字にこだわると、トヨタも危ない」(百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏)

一橋大学大学院経営管理研究科の名和高司客員教授も言う。

「5年以内に考えられるのが、日産グループの解体です。提携を結ぶ三菱自動車の存在も、生き残りを保証するものになりえない。傘下の部品メーカーも同様で、日産はブランドしか残らないかもしれない」

自動車業界に限らず、密集が前提の業界はおしなべて苦境に立たされる。飲食店や百貨店、テーマパークが代表例だが、旅行代理店など観光業や宿泊業も同様だ。

「ビジネス目的で出張する機会は明らかに減ると思います。そのため、ビジネスユース割合が高いホテルは厳しいでしょう。帝国ホテル、オークラ、オータニが特にそうです」(ファイブスター投信投資顧問の大木将光氏)

帝国ホテル(Photo by gettyimages)

緊急事態宣言の解除により、JALとANAなど航空業界の株価は急上昇している。だが、先行きはそう単純ではない。

「ホテルと同じく、ビジネス目的での渡航がコロナ以前に戻ることはないと思います。ピーチ・アビエーションをはじめとする格安路線は観光客が中心ですが、観光客の受け入れ再開はビジネス客以上に時間がかかる」(経済評論家の加谷珪一氏)

また、依然として対人営業の比重が大きい金融機関には、リストラと業界再編の波が押し寄せる。

セゾン投信代表取締役の中野晴啓氏が指摘する。

「現金は物理的に『触ると汚いもの』扱いになり、キャッシュレス化が進み、感染リスクのある対人営業は縮小されます。さらに、この分野は新興のIT企業にシェアを奪われるため、大手は海外事業の拡大が必須になる。この過程で、メガバンク3行のうち1行が脱落する可能性があります。

同じく対面営業が激減する証券会社は、資産運用に集中することになる。メガバンクいずれかと、野村證券が合併するくらいの大型再編が起きるかもしれない」

建設業界はどうか。従来の大都市一極集中化は、感染拡大のリスクとみなされるようになった。

元カルビー社長で経営コンサルタントの中田康雄氏は言う。

「すでにタワーマンションは敬遠される傾向にありますが、都心のオフィス需要も間違いなく減る。また、近年デベロッパーの稼ぎどころになっていたショッピングモールも、客足は鈍っていくでしょう。この3つのマイナス要素にすべて該当する三井不動産は要注意ですね」

新しい生活様式が、既存の需要をことごとく奪っていく一方で、通信のニーズは伸びていく。インターネットで家電や自動車などあらゆるものがつながっていく「IoT」という仕組みが一例だ。

「コロナに水を差された形になりましたが、高速通信が可能な5Gが導入され、病院のオンライン診療などがよりスムーズになります。ほぼ投資会社と化したソフトバンクは別にしても、NTTやKDDIの企業価値は高まるはずです」(中田氏)

また、生産ラインや物流、接客などを無人化・自動化する動きは加速し、関連産業の価値はかつてないほどに高まる。産業用ロボットやセンサーを開発するキーエンスや日本電産がそうだ。

今回、識者全員が「◎」をつけた企業がひとつだけある。ヤマトHDだ。

「今後、人が動くのではなく、モノが動いて人のところにやってくる傾向が一層強まります。極端に言えば、従業員の手も介さず、モノ自体が動くことが理想的で、AIやロボットへの投資が増えます。陸運業界でそれをリードできるのはヤマトでしょう」(前出・大木氏)

企業に求められるニーズは、コロナ前とはまるで変わる。富士フイルムがコロナ治療薬として期待される「アビガン」を製造したり、シャープやユニクロがマスクの製造に乗り出したりしたように、自社の技術を新しい需要に転用できるかがカギになるだろう。

前出・鈴木氏は語る。

「これからの企業は、さまざまな意味での柔軟性が求められます。テレワークの導入やオンライン商談の導入をきっかけに、従来の企業文化や業界カルチャーを変えられるかもしれない、と気づいた会社も多いはずです。生活様式の転換で、日本経済の落ち込みは免れませんが、ポジティブな変化を生み出せる企業は生き残れるでしょう」

変わらねばならないならどう変わるか。それが企業の明暗を分ける。

実名160社を公開

『週刊現代』2020年6月6日号より