石ノ森さん、手塚さん…漫画の「聖地」トキワ荘38年ぶり復活 仕事場など忠実に再現

宮城県登米市出身の石ノ森章太郎さん(1938~98年)や手塚治虫さん(28~89年)ら日本を代表する漫画家が若い頃に住んだ東京都豊島区のアパート「トキワ荘」が38年ぶりに、区立トキワ荘マンガミュージアムとしてほぼ原寸大でよみがえった。7月7日の開業を前に27日、記念式典があり、忠実に再現した居室や共同炊事場などが関係者約250人に披露された。

 館内の目玉は、石ノ森さんが2階の自室の隣に仕事場として借りていた部屋の復元。愛読書の海外ミステリー小説が並んだ本棚や、石ノ森さんの元アシスタントで仕事場に寝泊まりした同郷の山内ジョージさん(79)=東京都江戸川区=の作業机が置かれ、当時の暮らしぶりを追体験できる。
 築10年ごろを想定して設計し、鉄骨2階で延べ床面積約560平方メートル。1階には手塚さんが「リボンの騎士」の主人公と自画像を描いた解体前のトキワ荘の天井板、元住人の漫画家の作品など1500冊を所蔵するマンガラウンジがある。
 20年ほど前に始まったトキワ荘復活を願う住民運動に押された豊島区は、現代漫画の原点として顕彰し地域活性化に生かす目的で2016年度に再現事業に着手。トキワ荘跡地は現在、出版社が立つため、西に約300メートルの同区南長崎花咲公園内に建設した。事業費は9億8000万円。
 19年1月に着工し、今年2月末に完成。3月22日開業の予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期していた。
 再現検討会議の座長で漫画家の里中満智子さん(72)は「石ノ森さんがトキワ荘で描いたファンタジックな少女漫画に当時憧れていた。ここは私たちの聖地だ」と感慨深げに語った。
 施設の開館時間は午前10時~午後6時で無料。当面はホームページからの入館予約が必要。連絡先は03(6912)7706。

[トキワ荘]東京都豊島区の旧椎名町にあった木造2階のアパート。1952年12月完成。兵庫県宝塚市から上京し、仕事場兼住居を探していた手塚治虫さんが53年1月に入居して以降、藤子・F・不二雄さんと藤子不二雄(A)さん、赤塚不二夫さんら地方出身の漫画家計11人が入れ替わりながら次々に住み着き、出版社の雑誌編集者やファンから「マンガ荘」と呼ばれた。老朽化で82年12月に解体された。

■動画はこちら
https://www.kahoku.co.jp/movie/archive/2020/lic-RCfNRNY.html