2020年版のタレントパワーランキング芸人編

2020年版のタレントパワーランキング芸人編は1位がサンドウィッチマン、2位が富澤たけし、3位が伊達みきおと、昨年に続いてコンビ、ソロでトップ3を独占した。4位の出川哲朗は昨年10位からの急上昇、10位のノブ(千鳥)も昨年23位からのジャンプアップで、それぞれ勢いを感じさせる。

日経エンタテインメント!では、08年から年1回「タレントパワーランキング」を発表している。株式会社アーキテクトが3カ月に1度実施している、タレントの「認知度(顔と名前を知っている)」と「関心度(見たい・聴きたい・知りたい)」の調査を基に、2つのデータを掛け合わせて「タレントパワースコア」を算出、ランキング化したものだ(調査の詳細は総合編の「タレントパワー サンドウィッチマンが堂々の2連覇」をご覧ください)。スコアは小数点第2位で四捨五入。順位は第2位以下も含めてつけた © NIKKEI STYLE スコアは小数点第2位で四捨五入。順位は第2位以下も含めてつけた

多くの人が何気なく目にするテレビで存在感を示すため、パワースコアも高い傾向になる芸人勢。芸人編1位は昨年に続き、サンドウィッチマンだった。2018年に初めて「総合」トップ10入りしてから勢いが衰えず、ソロでも富澤たけしは2位に、伊達みきおは富澤に一歩譲る形で3位となった。レギュラーはテレビが15本、ラジオが3本と多忙を極めながらも、みやぎ絆大使をはじめ、14もの大使やアンバサダーを務めている。

ランキング全体を見ると、昨年に比べてパワースコアを落としている人が多い。もともと高い「認知度」をキープする一方で、「関心度」を高めるのは容易ではない。そんななかでスコアを伸ばしたのはどんな顔ぶれか。2位のサンド・富澤以外では、まず10位から4位にランクアップした出川哲朗だ。バラエティやCMの露出が安定していることに加え、ベストジーニストに選ばれたほか、「旅芸人の原点」と語るクロアチアを再訪問した、11月放送の『アナザースカイII』(日本テレビ系)がギャラクシー賞月間賞を受賞。今年1月には『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレビ東京系)に、稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾がゲスト出演したことも注目された。

テレビで見ない日はない10位の千鳥・ノブもスコアを伸ばした1人。コンビでのレギュラー番組を多数持ちながら、ピンでもナレーションからサブMCまでこなす。昨年は朝ドラの『なつぞら』に教師役で出演したほか、19年1月からメンバーとなった『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の企画「ゴチになります」で、1年で3度のピタリ賞に輝いた。コンビでは、19年4月から『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)、10月から『華丸大吉&千鳥のテッパンいただきます!』(フジテレビ系)がスタート。なお、相方の大悟も10ランク以上アップしており、32位につけている。

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このほかスコアが伸びたのは、14位のタカアンドトシ、16位の所ジョージ、26位のナイツ。タカトシは昨年13年ぶりに漫才の全国ツアーを開催したほか、地元北海道のレギュラー番組『ジンギス談!』(HBCテレビ)、『発見!タカトシランド』(北海道文化放送)が好評だ。所はMCを務める『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)が高視聴率。ナイツは塙宣之がネタの分析力を買われ、2年連続で『M-1グランプリ』の審査員を務めたほか、著書の『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』(集英社新書)が10万部を突破した。相方の土屋も、趣味の「消しゴムサッカー」のYouTubeチャンネルを19年2月に開設するなど、独自路線で話題を提供している。

スコアを伸ばしている芸人の共通点は、コンスタントにテレビ出演を重ねながら、ニュースに取り上げられるような出来事が定期的に発生していること。出川やノブのようにトピックが複数あると、スコアにも反映されるようだ。

■賞レースを制した若手芸人が急上昇

スコアは小数点第2位で四捨五入。順位は第2位以下も含めてつけた

© NIKKEI STYLE スコアは小数点第2位で四捨五入。順位は第2位以下も含めてつけた

「急上昇ランキング」では、前回調査から7.8ポイント上昇した神田伯山(※)が1位に。「最もチケットが取れない講談師」として知る人ぞ知る存在だったのが、テレビ出演を機に知名度を高めた。

※前名は神田松之丞。20年2月に真打に昇進し、6代目神田伯山を襲名した。

そして今回は、お笑いの大きな大会で結果を残してきた面々の上昇率が目を引く結果に。2位のハナコは18年に『キングオブコント』で優勝。3位の霜降り明星は18年に『M-1グランプリ』で、その翌年に粗品がピンでも『R-1ぐらんぷり』で優勝し、勢いを決定付けた。17年の『キングオブコント』覇者である同率3位のかまいたちは、『M-1』でも3年連続決勝に進出し、大会規定のラストイヤーにあたる昨年、準優勝。これまでお笑いファンを中心に知られていた存在が、賞レースを盛り上げて好成績を残し、様々なバラエティで活躍するようになったことでスコアが跳ね上がった。

このほか、5位の山里亮太は、昨年6月に蒼井優と結婚したことが大きな関心事に。結果的に好感度が上がり、今年4月には新情報番組『土曜はナニする!?』(フジテレビ系)でMCに起用された。また、コンビの南海キャンディーズとしてもCM出演のほか、ローカル番組のMCを務めるといった充実ぶりで8位に入った。

5位の田村亮は闇営業問題で、昨年6月から芸能活動を停止していたが、今年1月から活動を再開。7位の江頭2:50は、今年2月にYouTube公式チャンネル『エガちゃんねる』を開設。瞬く間に登録者数が増え、5月現在で200万人を突破している。

昨年は「第7世代芸人」と呼ばれる20代中心の若手がバラエティ番組を席巻したが、“突出したインパクト”での売れ方ではないため、上位には入ってこなかった。彼らが世の中に広く知れ渡るまでにはもう少し時間がかかりそうだ。

(ライター 遠藤敏文)

[日経エンタテインメント! 2020年7月号の記事を再構成]