青い光点滅、クマ威嚇 大崎市の男性が獣害防止装置開発

宮城県大崎市鳴子温泉鬼首の男性が開発したクマの威嚇装置が注目を集めている。青い光の点滅で畑などに近づくのを防ぐ仕組み。エンジニアの経験を生かし、市販の部品で組み上げた。複数箇所に設置したところ効果があったといい、男性は「被害に悩む人に製作ノウハウを伝えたい」と話している。
 装置を開発したのは伊藤昌幸さん(72)。市販の点滅装置に青色の発光ダイオード(LED)を取り付けた。ソーラーパネルを使ったバッテリーで、日没から夜明けまで一定間隔で点滅させる。2019年に実用新案登録した。
 伊藤さんは仙台市で電子機器会社に長年勤めた。鬼首の温泉が気に入り、ログハウスを自力で建てて定年後に移住した。家庭菜園を楽しんできたが、クマによる食害に悩まされた。
 16年5月に菜園に自作の点滅装置を設置。「青色や紫外線を野生動物は嫌うだろう」と光の色や点滅間隔の試行錯誤を重ね、現在の仕組みにたどり着いた。イノシシ、ハクビシンなども光が当たる範囲には寄り付かなかった。
 地形などに応じて照明の高さ、光量を変える。発光部分とソーラーパネル、バッテリーを合わせても部品代は約10万円。装置が評判を呼び、仙台市などの知人宅の畑5カ所に設置した。いずれも害獣の侵入防止に効果を上げているという。
 東北各地でクマによる人的、農作物被害が多発している。伊藤さんは「威嚇装置は、地形が複雑で電気柵を設置しにくい場所でも使える。自分で量産はできないが、興味がある会社や人には製作ノウハウを教えたい」と技術の活用を望んでいる。