一人暮らしの平均貯金額は?月いくら貯めるべき?

一人暮らしでは毎月どれくらい貯金するべき?

「一人暮らしだとなかなか貯金できなくて……」、こんな声をよく聞きますよね? 確かに一人暮らしだと、実家暮らしのときとは違い、家賃や光熱費、食費など、何かと出費がかさむものです。

それに、給料が入ってくると、毎月の出費を払い終わったら、誰に気兼ねすることなく、好きなだけお金を使ってしまいがちです。

とはいうものの、病気で入院することになって入院費がかかったり、転職のためにしばらく休職状態になったりと、不測の事態が起きたときには、貯金がないと立ち行かない状態になってしまいます。

いざというときのために、最低限生活費の3カ月分の貯金は確保しておくと安心でしょう。

では実際には、一人暮らしでは毎月どれくらい貯金するのが妥当なのでしょうか。データを参考に詳しく解説していきましょう。

20代の平均貯金額は約106万円!

金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査『単身世帯調査』」(令和元年調査結果)では、単身世帯の金融資産の状況などを詳しく調査しています。

この統計では、平均貯金額や金融資産保有額などを、年代や収入別、地域ごとに確認することができます。

まずは年代別で見ていくと、20代で貯金がない人は45.2%(45.4%)、30歳代では36.5%(39.7%)、40代では40.5%(42.6%)という結果になっています(カッコ内は平成30年調査結果より)。

この結果を見て「4~5割の人が貯金できていないんだ!」と安心するのは禁物です。

貯蓄額を年代別に平均で見ていくと、20代でも106万円も貯金しているという数字が出ているのです。一人暮らしでも、将来のさまざまな出費に備えて貯金をしている人はたくさんいるのです。

●年代別・平均貯金額(金融資産保有額)※金融資産を保有していない世帯を含む
20代……106万円
30代……359万円
40代……564万円
50代……926万円

40代にもなると貯金額も大きく跳ね上がり、564万円と20代の約5倍以上もの貯金ができているのです。世代が高くなるほど、老後の生活資金などの目的のために、貯金額は多くなってきています。

次に、貯金をする目的について見てみましょう。

●金融資産の保有目的 ※金融資産保有世帯
1位……老後の生活資金/57.0%
2位……病気や災害への備え/47.4%
3位……とくに目的はないが保有していれば安心/27.5%
4位……旅行、レジャーの資金/21.0%
5位……耐久消費財の購入資金/9.4%
6位……その他/8.9%

このデータは全世代の平均ですが、20代の1位は「とくに目的はないが保有していれば安心」が43.2%、2位は「病気や災害への備え」が41.2%、3位は「旅行、レジャーの資金」が31.1%となっています。

若い世代は特定の貯める目的はないものの、貯金がないのは不安だと感じている人が多いことがわかります。

手取りからの貯蓄割合は約12%が平均に

それでは実際、一人暮らしの毎月の平均貯蓄額はいくらなのでしょうか。

さきほど紹介した金融広報中央委員会の調査によると、年間の手取り収入から貯蓄に回している割合は、全世代平均で12%、年代別では20代と30代はともに16%、40代は13%、50代は10%となっています。

この調査では税引き後の手取り年収の平均額もわかります。税引き後の手取り年収の平均額は、20代で平均230万円、30代では300万円、40代は313万円、50代は283万円です。

ということは、例えば20代で平均貯蓄割合の16%を貯金に回すとすると、230万円×16%=年36万8000円なので、1カ月あたりの貯金は約3万700円が目安になると考えることができます。

それでは、貯蓄割合と手取り年収の平均額のデータを使って、改めて年代別の貯金額を算出してみましょう。

●年代別・貯金額の目安(カッコ内は毎月の貯金額)
20代……230万円×16%=年36万8000円(3万666円)
30代……300万円×16%=年48万0000円(4万円)
40代……313万円×13%=年40万6900円(3万3908円)
50代……283万円×10%=年28万3000円(2万3583円)

「どんぶり勘定」をやめて家計管理を行うことが貯金をはじめる第一歩

この結果を踏まえれば、自分は貯金ができているほうか、できていないほうか、なんとなく理解できるかと思います。

もし毎月の収入から貯金することが難しければ、ボーナスから貯金に回すなど、年間での貯蓄額をコントロールすることも考えましょう。

今まで貯金ができていなくて、「毎月何にお金を使っているかわからない」という人は、どんぶり勘定を改めて、家計管理をすることからはじめましょう。

まずは家計簿を最低1カ月付けてみて、支出の中身を見直します。無駄な支出や節約できる部分などを改善することで、貯金体質に変えることができるのです。
(文:滝田 知歩(マネーガイド))