クマに襲われ?ヤギ死ぬ ニワトリ17羽も被害 宮城・栗原 「小屋に行くの怖い」

宮城県栗原市で10月下旬、ツキノワグマに襲われたとみられるニワトリとヤギの被害が相次いで発生した。市内でのクマによる家畜被害は珍しいが、簡単に捕食できるために襲われる可能性が高いという。専門家は電気柵などによる防御策を助言している。

 ニワトリの被害があったのは同市一迫の農家。10月25日から2晩連続で襲われ、計17羽が被害に遭った。小屋で死んでいたのはわずか2羽で、残り15羽は跡形もなく消えていた。
 小屋の金網やトタンが破られており、被害に遭った女性は「こんなに食べられると思わなかった。また来るかもしれないので小屋に行くのが怖い」と不安そうに話す。
 その5日後の31日には、4キロほど離れた花山地区の民家でヤギ1頭の被害があった。築館署などによると、敷地の屋外で飼育していた男性が、腹の部分を食べられて死んでいるのを見つけ、警察に通報した。他に荒らされた形跡はなく、ヤギを狙ったとみられる。
 周辺では、クマの目撃情報が相次ぎ、クリの木の枝が折られるなどの被害も出ていた。
 市鳥獣被害対策実施隊によると、一迫地区ではクマとみられるニワトリ被害が3年前に発生し、昨年も1件確認された。一迫地区隊長の中山富士男さん(69)は「クマが食べる物が変わってきているようだ。子牛も危ないかもしれない」と警戒を強める。
 岩手大の青井俊樹名誉教授(野生動物管理学)によると、岩手県や秋田県ではクマによるニワトリ被害は珍しくないという。「クマは元々肉食で、容易に捕まえられる動物が狙われやすい。ニワトリは別の場所に運んで土に埋め、後から食べることもある」と解説する。
 青井さんは対策として、ヤギは屋内の小屋での飼育、ニワトリは小屋への電気柵の設置を勧める。クマへの警戒は11月下旬ごろまで必要になるという。