仙台駆け込み寺、壱弐参横丁に新拠点 コロナ禍で孤独深める人にも対応

東京・歌舞伎町で、家庭内暴力や借金、自死願望などの相談に応じている公益社団法人「日本駆け込み寺」の仙台支部「仙台駆け込み寺」が9月、仙台市青葉区の壱弐参(いろは)横丁の一角に、新たな活動拠点を設けた。東日本大震災の被災者支援をきっかけに、さまざまな相談に応じてきた同支部は、新型コロナウイルスの感染拡大により、孤立を深める人らの支えにもなっている。

 同支部は2012年7月、東京の駆け込み寺に、震災の被災者から多くの相談が寄せられたことを受けて発足した。
 運営の柱になっていた民間の補助が終了し、17年に法人支部としての活動を一時休止。その後はボランティア有志が仙台市市民活動センターを間借りし、任意で活動を続けてきた。
 同センターが手狭になり、相談者のプライバシーを確保するため、相談場所を移した。現在は支部としての活動を再開し、高校生から70代までのボランティア50人以上が交代で電話や対面で相談に応じている。
 関係者によると、新型コロナの感染拡大で人間関係が希薄になり、悩みを抱えるケースが目立つという。織笠英二支部長(66)は「友人や知人と接点が少なくなり、1人で悩みを抱え込んだ人が助けを求めるケースが生じている」と言う。
 9月には、金銭や家族にまつわる悩みなど21件の相談があった。過去には、職や住まいを失い、着の身着のままで駆け込んできた人や「死ぬために仙台に来た」と話す県外からの相談者もいたという。
 織笠支部長は「誰かに話すことで気持ちが楽になることもある。深刻な事態にならないうちに、気軽に相談してほしい」と呼び掛ける。
 午後1~4時。電話で予約すれば、時間外も対応する。男性の対面相談も事前の申し込みが必要。水曜定休。連絡先は070(4060)9862。