東北の上場26社の8、9月中間決算 15社で減益・赤字 巣ごもり需要の10社増益

東北の上場企業26社(金融を除く)の2020年8、9月中間決算が出そろった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛などの影響で、前年同期比で純損益が減益か赤字となった企業は外食産業など15社で、半数を超えた。一方、巣ごもり需要で好調だったホームセンターなどを中心に10社が増益となり、明暗が分かれた。

 減益・赤字15社のうち、7社は黒字から赤字に転落した。温泉施設スパリゾートハワイアンズ(いわき市)を運営する常磐興産(同)や、外食産業のカルラ(富谷市)、幸楽苑ホールディングス(HD、郡山市)は、新型コロナによる短縮営業や休業、外出自粛による利用客減少が影響した。
 やまや(仙台市)は酒販は好調だったが、子会社の居酒屋チェーンが振るわなかった。宿泊、外食以外でも、ユアテックは工事の中断や延期などがあり、7年ぶりに赤字となった。
 減益は7社で、冠婚葬祭業のこころネット(福島市)や食品製造の日東ベスト(寒河江市)など、さまざまな業種に及んだ。住宅資材の山大(石巻市)は赤字幅が拡大した。
 増益となったホームセンターのサンデー(八戸市)は純利益が過去最高を記録。ホームセンターやペット事業を手掛けるアレンザHD(福島市)は2.9倍、ヤマザワは11.6倍など、巣ごもり需要で純利益が大幅に増えた。建設業の常磐開発(いわき市)は、公共土木工事の受注が増えた。
 ほかの増益企業6社は減収だった。新型コロナで売上高は減ったものの、資産売却による利益を計上した日東紡(福島市)など、特殊事情で黒字を確保した企業もみられた。
 薬王堂HD(岩手県矢巾町)は昨年9月に持ち株会社に移行したため、前年同期との比較はない。ただ、連結範囲に実質変更はなく、薬王堂の19年8月中間決算と比べると、純利益は24.0%増加。衛生用品の需要が増えたドラッグストアの好調さがうかがえる。
 20年2、3月期の決算発表の際、21年2、3月期の業績見通しを「未定」とした企業は半数を超えたが、17日までに24社が発表。増益は7社で、サンデーとヤマザワは黒字転換を見込む。減益は12社で、山大、常磐興産、幸楽苑HDは赤字幅が拡大すると予想する。